3Dプリンタ出力のためのKiri:Motoの活用
これから学校現場に,3Dプリンタが徐々に設置されていくと思われますが,多くの学校で導入されているのは,Chromebookなどのネット接続が基本のシンクライアント端末です。そのため,3Dプリンタが導入されても付属のスライサーソフトをインストールできない学校も多いのではないかと思われます。そこで,ブラウザ上で実行できるスライサーソフト「Kiri:Moto」活用についてまとめてみました。
Kiri:Motoは,3Dプリンタ,CNCミル,レーザーカッターに対応した,ブラウザベースのスライサーです。デバイスと材料のプロファイルに基づいて,3Dモデルをスライスできます。UIはシンプルで,初心者でも経験者でも使いやすいように設計されています。
Kiri:Moto https://grid.space/kiri/
高度な設定の制限:
・デスクトップ版のソフトに比べ,詳細なパラメータ設定(例:複雑なサポート構造,特殊な充填パターンなど)が限られている場合があります。
メーカー専用機能との非互換:
・特定のメーカーのプリンタに搭載されている独自機能(例:オートキャリブレーション,フィラメント残量検知など)を,ブラウザベースのスライサーでは完全に制御できない場合があります。G-codeの出力前に,プリンタ側の設定を適切に行う必要があります。
自己所有の3Dプリンタ「Voxelab AquilaX2」で3Dモデルを印刷
TinkerCADで上記の3DモデルをSTL形式で出力し,各スライサーソフトでスライスし印刷してみました(付属3Dプリンタ添付スライサーソフト「VoxelMaker」)
VoxelMaker 15分55秒
Kiri:Moto 24分35秒
Kiri:Motoでスライスした場合の想定される違い
細部の調整の難しさ:デスクトップ版のソフトに比べ,細部の調整ができないため,設定を最適化していない場合,印刷品質がわずかに劣る可能性
ファイルサイズの肥大化:G-codeのファイルサイズがやや大きくなる場合もあります。
実例:
レイヤーのズレ: Kiri:Motoのシンプルな設定では,プリンタの特定の癖(例:加速度やジャーク)を細かく調整できません。そのため,高速で印刷した際に,層がわずかにずれてしまう現象(レイヤーシフト)が起こることがあります。メーカー付属ソフトでこれらのパラメータを調整すれば,この問題は解消できます。
サポート材の跡: シンプルなツリーサポートしか選択できない場合,モデルにサポート材の跡が残りやすくなります。しかし,学習用途としては,サポート材の役割を理解する上で良い教材になります。
投稿者:藤田光幸(青森県)

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