研修イノベーション から「これで授業してみたい!」への道~

【PR記事】AkaDako物語 第5回 ※第4回はこちら

研修イノベーション から「これで授業してみたい!」への道~

文:高松基広
イラスト:青空とんぼ

告白します。
僕、実は研修が超ーーーヘタクソなんです。

そもそも50歳を過ぎるまで、人にプログラミングを教えた事なんて一度もありませんでした。それどころか、その昔、某メーカーで働いていた頃は
「人に教わらねぇとプログラムが書けないようなヤツは、プログラマーには向いてない」
なんて、超絶めんどくさい事を真顔で言い放つ、とんでもない奴だったんです。(ほんとに嫌な奴ですよね…苦笑)

そんな奴が、学校の先生にプログラミングを教える――。
いや、どう考えてもヤバいっすよね💦
そんなヘタクソな奴が、今では年間50本以上の研修のご依頼をいただけるようになりました。

AkaDako物語の最終回は、ヘタクソだからこそたどり着いた「研修イノベーション」について、お話しします。

■喋ってないのに!?受講した先生の不安が綺麗に溶ける「喋らない研修」

最近、僕の対面研修を受けてくださった先生はご存じかもしれません。 

僕、研修中、ほとんど喋らないんです。 

なのにですね…研修の前後でアンケート(5件法)を取ると、不思議なことが起きます。
実は、研修を受ける前の段階では、多くの先生方が「授業の準備が大変そうだ」「トラブルが起きるんじゃないか」と、プログラミング授業に対して強い不安や負担感を持たれています。
ところが、小学校の先生も、中学校の先生も、統計データ(ウィルコクソンの符号順位検定)で分析すると、効果量 r が 0.7を超えるという驚異的な結果が出たんです。(統計の世界では、r が 0.5を超えれば「効果大」。つまり、『研修を受けたほぼ全員の不安や負担感が綺麗に溶けて、これなら明日から授業ができる!』と確信するレベルの、圧倒的な変化が起きているということです)
喋ってないのに、です。

もちろんこれには、タネも仕掛けも……あります!

僕は若い頃「いいモノさえ作れば売れる」と勘違いして、さんざん痛い目を見てきました。そして、AkaDakoでようやく気づいたんです。どんだけ凄いハードウェアを作っても、先生方が「これで授業したい!」と思える仕掛けがなければ、授業では使われない、ということを。

現場で何度も転び、何度も叱られ、何度も心をへし折られる中で生まれたのが、次の 3つのピース を統合した《研修イノベーション》でした。
 1つ目:子どもたちの「つくりたい!」を先に引き出す課題解決プログラミングカード
 2つ目:先生の授業実践に向けた不安を溶かす 授業用スライド
 3つ目:先生自身が「できる楽しさ」を体験する 初見模擬授業
ひとつずつ、そのピースが生まれた瞬間のお話しをします。

オメーの言っていること、わかんねぇんだよ💢

時はAkaDakoの開発に着手するより、ずっと前。
ある自治体から、中学校の技術科の先生方向けに、micro:bit研修のご依頼をいただきました。対象は20名弱。テーマは「自動灌水システムの構築」です。約4名ずつ、5つの班に分かれて実施しました。そのうちの1つが、ベテランの先生方ばかりが集まった班でした。
このときの研修は

  • micro:bit概要
  • 開発環境(MakeCode)の説明
  • 言語仕様(ブロック)の説明
  • サンプルプログラム体験
  • センサーを1つずつ説明&体験
  • 自動灌水システムの説明
  • 班で相談しながら主体的に開発
  • 発表

という、知識を積み上げていく流れで実施しました。
最初は順調そのものに見えました。
ところがです。
「班で相談しながら主体的に開発」になって、ふと気づいたんです。
あのベテランの先生たちの班だけ、完全に手が止まっている…。
次の瞬間、そのうちのお一人の先生が、僕をギロリと睨みつけ、研修室いっぱいに響く大声で、こう言い放ったのです。
「オメーの言っていること、わかんねぇんだよ💢」
会場は、一瞬でシーンと静まり返りました。
そのあとは……説教を浴び、ひたすら頭を下げ、研修会場を後にしました。

これには、めちゃくちゃ堪えました。
でも今では、この先生に心から感謝しています。
この説教こそ
「知識を積み上げていく研修法で、すべての先生が実践に至るのはムリ」
という、現場からの本気の警告だったのですから。

■涙の帰り道で生まれた「カード」

帰りの車の中。
悔しくて、悔しくて、ハンドルを握りながら涙が止まりませんでした。
「どうすればよかったんだろう……」
あの先生は、決してやる気がなかったわけじゃない。むしろ逆です。本気で学ぼうとしたからこそ、「わからない」が「怒り」になった。
悪いのは、先生ではありません。
そのとき、ハッとひらめいたのが 「カード」 でした。

  • 表側には「できること」
  • 裏側には「プログラミングの仕方」

これを作れば、プログラミングの知識に依存することなく
「これとこれを組み合わせたら、できるんじゃね?」
と、主体的・対話的にアイデア出しができる。
そして、アイデアが固まったら
「じゃぁ作ってみようぜ!」
と裏面を見ながら先生に聞かなくても作れる。

すなわち、知識を積み上げてから問題解決に取り組むのではなく、問題解決のアイデアを先に考え、後から実現するための技術を学ぶ。そして「もうちょっとこうしたい」が生まれれば、カードを卒業し、自ら文法を学びはじめる。
カードの生かし方さえ知っていれば、プログラミングのスキルがまだ乏しい先生でも、授業ができるのでは…。

帰るとさっそく、当時NPO法人みんなのコードに所属していた竹谷正明先生に手伝ってもらいながら、micro:bit版のカード開発に着手しました。
その後、AkaDako版を作ったのは、あのダイソーのお弁当箱を担いで全国を奔走していた、まさにその時期です。デザイン→実践→評価→改善をひたすら回すあの日々の中で、子どもたちの反応を見ながら、カードもまた一緒に磨かれていきました。

そして、ついに!……です。
自分が担当した出前授業で、第1話で聞いたあの声が、またチャイムと同時に教室に響いたんです。
「えー!もっとやりたーい!」
ああ、これだ。間違ってなかった。

■先生が「できる授業」へ ── 青木先生降臨

でも、その出前授業、やったの、僕ですよね?
カードがあっても、結局「高松だからできた」じゃぁ意味がない。全国の先生方が、ご自身の教室で、明日できなきゃ意味がないんです。
「先生自身がやれる!と思える形に、どう落とし込んだらいいんだろう…」
新たな壁にぶつかっていたちょうどその頃、第1話でお話しした「人生を変えた一本の電話」をかけた港区の先生グループの一人、青木良太先生から、突然連絡がありました。
「教材開発の仕事を手伝いたい」
なんとこのとき、青木先生は小学校の理科教員を退職され、神戸大学大学院で学習科学を学んでいたんです。再び、神が降臨した瞬間でした。
青木先生はわが社に入社するとすぐ、学習効果を最大化する設計理論を駆使した授業用スライドに着手してくれました。

タコラッチ・ミニ用 https://699.jp/kstmタコラッチ・探究ツール用 https://699.jp/ksat
このスライドを試しに研修で使ってみたところ、めちゃくちゃ評判がいい!

カードが「子どものワクワク」を引き出す装置だとすれば、このスライドは「先生の不安」を溶かす装置でした。

何を、どの順で、どう言えばいいか。子どもたちの活動を、どう組み立てればいいか。青木先生の学習科学に基づいて計算された道筋が、スライドの中に埋め込まれている。

これによって、AkaDakoは「先生が教室で使える教材」へと、また一歩近づいたのです。
2つ目のピースが、生まれた瞬間でした。

■ジャンケンから始まる「初見模擬授業」

でも――まだ何かが足りない。
いくらカードとスライドがあっても、たった90分の研修を受けただけで、翌日いきなり実践するのは、さすがにハードルが高い。
ここでまた、青木先生がやってくれました。
当時、神戸大学の教育学部で講師も務めていた青木先生が、学生向けに実践してみた手法――それが 「初見模擬授業」 でした。

やり方は、笑っちゃうくらいシンプルです。

2人1組のペアになる。ジャンケンをして、負けた方が「先生役」、勝った方が「生徒役」。

  • 先生役の手元には、授業用スライド
  • 生徒役の手元には、AkaDako

これだけ。たったこれだけなんです。

先生役は、初めて見るスライドをめくりながら、生徒役に授業をする。生徒役は、本物の子どものようにAkaDakoを操作する。

当然ですが、先生方は怪訝そうな顔をします。
「えっ? 見たこともないスライドで、いきなり模擬授業させられるの……?」
そりゃそうですよね💦

でも、ここに大きな仕掛けがあるんです。青木先生によれば、これは学習科学でいう「身体的認知」や「記号接地」、「知識の文脈依存性」といった理論に関係しているそうです。頭で説明をじっと聞いて理解しようとするのではなく、まずは「先生役」として声を出し、体を動かし、実際の授業というシチュエーションの中で言葉を発してみる。そうやって体を通すことで、ただの「知識」だったものが、自分のものとしてカチッと腑に落ちていくんです。

だからこそ、始まってしまうと、これがものすごく盛り上がるんです。 先生役は、計算され尽くしたスライドに沿ってアドリブで話しながら授業を進め、生徒役は、AkaDakoを触りながら子どもの気持ちでワクワクする。 そして、研修が終わる頃には、みなさん笑顔。
「あっ、これなら自分にもできる!」
と、自信をもって帰っていく先生が続出するんです。

これが、冒頭でお話しした「喋らない研修」の正体です。僕が延々と説明するのではなく、先生方自身が、研修の中で一度「授業をやってしまう」。しかも、初見で。

この「一度、自分が先生役として授業を回した」という感覚が、とてつもなく大きい。
「できるかもしれない」が、「できそうだ!」に変わるんです。

しかもこの研修法、すごいのは再現性です。
なんと、教材会社の営業担当者が一度受けただけで、営業先で先生向けに同じ研修を再現できてしまう。受けた人が、また次の人へ伝えていく。

スキルに左右されない伝達研修にメチャ向いているんです。

「課題解決プログラミングカード」「授業用スライド」「初見模擬授業」3つのピースが揃ったおかげで、AkaDakoはようやく「現場で動く教材」になれました。

教材とは、モノの事だけではない。先生と子どもたちの間で、ワクワクする学びが立ち上がるための「仕組み」なのだと、僕はこの旅で教わりました。

■生まれたもう一つの夢

そして僕はこの旅を続ける中で、もう一つの夢ができました。

第4話でお話しした、作ってよし、触ってよし、使ってよしの「S-LINK構想です。

そこで僕は、これを広めるため、非営利の一般社団法人「S-LINKコンソーシアム」(仮称)を立ち上げることにしました。みなさん!是非、力を貸してください!!

■最後に

micro:bitに出会い、教育の「沼」にハマった、一介の老プログラマー
発売1ヶ月で「幻」になり、Appleの壁に「詰んだ」と天を仰ぎ、娘に一刀両断され、ベテランの先生には罵倒される。何度も心が折れかけました。
でも、その失敗の一つひとつが、AkaDakoに、天板拡張くんに、S-LINKに、そしてこの研修法に、ちゃんと姿を変えてくれた。
支えてくれた仲間と、全国の先生方、子どもたちのおかげです。本当に、ありがとうございました。

次の指導要領では、日本が世界から取り残されないためにも、情報分野のさらなる充実が求められると言われています。僕らの挑戦は、まだ折り返し地点にさしかかったばかりです。

全国すべての教室で、あのチャイムと一緒に、
えー!もっとやりたーい!
の声が響く――そんな未来を目指して。
これからも、先生のためのものづくりを、ガンガン続けていきます!
長い物語に、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

――AkaDako物語・完

はじめてAkaDakoに触る先生方にお願い🙇
実は....、同梱されている課題解決プログラミングカードを触らずに「面白くない」「難しい」とおっしゃっている先生が多くて困っています💦

是非とも、計測制御の授業用スライド
・タコラッチ・ミニの場合:
https://699.jp/kstm
・タコラッチ or 探究ツールの場合:
https://699.jp/ksat
で課題解決プログラミングカードを体験してみてください!

 

絶賛研修受付中!📘
2026年度は、僕のスケジュールが許す限り、全国どこへでも研修にお伺いさせていただいております。
小さな集まりでも予算がなくても大丈夫です👌 お気軽にご相談ください!

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【筆者プロフィール】
 株式会社ティーファブワークス 代表取締役 高松基広
 連載:子供の科学「AkaDakoものづくりラボ」(誠文堂新光社)

編集協力:
  中学校教科書「新しい技術・家庭」(東京書籍)
  高校教科書「情報Ⅰ」(開隆堂)

 著書:「micro:bitであそぼう!」(技術評論社
 発明・開発:天板拡張くん、ふきだしくん、AkaDako、他
 Facebook : https://www.facebook.com/asondemita
  ※友達リクエスト大歓迎ですがメッセージを必ず添えてくださ~い!

【イラスト】
 青空とんぼ https://x.com/Tombo_Aozora

【編集協力】
 加藤 良子 https://www.instagram.com/nagako_kt/
 西尾 琢郎 https://www.facebook.com/orukat24

【AkaDako】
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 教材集: https://699.jp 
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