教師人生の失敗談:技術の先生の奮闘と学びの記録

この記事は2024/3/29から技術教室グループで「若手教員に背中で語る実践録。みんな昔は若かった!今だから話せる失敗談から学ばせてください!」と先生方から失敗談を募集したものです。なお、原文そのまま記載しています。

失敗談 その1「農業の苦労と喜び:希少種栽培の挑戦とミニトマト収穫祭」
現在は「生物育成の技術」として必修となっている農業に関する失敗談。全国的なな履修率が4%まで落ちたときも何とかして、栽培を通して、子供達に命を育み命に感謝する体験をさせたいと頑張っていました。
1)10学級の学年で大菊の三本仕立てに取り組んだ時は、一鉢も枯らさないと、夏休みも毎朝5時起きで学校に行って水遣りを続けていた。天気予報の雨が嬉しかったなぁ。
2)新品種に挑戦するすることで栽培への興味関心が高まると思い、希少種と呼ばれるものや、初心者では収穫の難しいものに手を出し毎年失敗の連続!!
・北海道と一部の地域でしか栽培されていない希少種パンダ豆を収穫できて、煮込むと白黒が落ちてパンダじゃなくなってしまう。
・くだもの時計草(パッションフルーツが低温で誰一人収穫できなかったこと。
・坊ちゃんカボチャの鉢栽培で、水不足のため全滅
・糖度が高くて美味しいという触れ込みで挑戦した食用ホオズキも収穫ゼロ
・一人一鉢でミニトマトを作ったとき、夏休み中生徒が登校してない期間中も毎朝300個 以上の収穫があって、我が家の献立が約1ヶ月間ミニトマトだったこと
・希少種のジャガイモ「インカのめざめ」の袋栽培が超難関だったこと
・グループ学習で実践した「一坪ガーデニング」でノリノリになった生徒と家族が庭作りのため校庭に大量の石材を持ち込んで後始末に困ったこと
ハプニング続きの栽培でしたが、一番印象に残っているのもこの授業でした。

失敗談 その2 「大きすぎる贈り物:丸太椅子作り奮闘記」
20年以上昔、山の中の村立の学校の初任一年目に取り組んだのは、「丸太から板をとって風呂用の小さな椅子をつくる」という授業。身の回りの木を板材にするところから始めたいとの地域密着的な想いからです。
「間伐材の半分に切った30cm〜40cmくらいの丸太が欲しいなぁ」と教材屋さんに言うと、「知り合いの製材所がこの近くにあるので500〜800円程度で手に入ります!」とのこと。
安くて小さいと作業が楽で助かるなぁと思っていたのですが、いざ届いたら、ものすごく太い丸太が!しかも大きい。製材所さんが生徒のためにと良い丸太を厳選して切って持って来てくれたとのこと。
丸太から板をノコギリで切り出すわけですから、丸太が大きいと死ぬほど大変。生徒がひたすらのこ引きするという技術の授業。
なんとか丸太を半分くらい切ったら、くさびを打って割り、僕が自動かんな盤で板にして、そこからやっとけがき、部品取りでのこ引き(板を切るのは丸太より簡単だ!と生徒たち)、下穴あけして組立。
なんとか全員椅子にして外で耐水性の油性ニスを2度ぬり。
よくまぁこんなチャレンジングなことをやったものです。1年生の1・2学期間は、ずっと作業ばかりさせていたような気がします。授業でけがきとかを最初に説明しても、のこ引き作業の毎日。
時間的と心の余裕があったころの失敗話です。
校長が「好きなようにやってみろ!責任は俺がとる!」という方だったので、失敗を恐れずいろいろ挑戦させていただきました。

失敗談 その3 「ノコギリでは無理!本棚作りと設計図の重要性」
初年度、1000×210×12(mm)の板で、本棚(私が設計図を自作)を実習させたときに、
縦引き1mをする事になっていたが、生徒のノコギリでは、不可能だと実習してわかる。
最初のクラスでその事を悟って、放課後、6クラスの板を丸のこで、1mを切った。
次年度から、夏休みに板を購入して、私が切ることにする。
後日、業者に頼むと、切った状態で納入してもらえる事を知る。
本棚キットより、教師自作の設計図+板+クギ+接着剤+などを買った方が、1000円くらい安くなるよ。
理想は、生徒自らが自作設計なのだが、設計図の構想や確認は、早めに完成させておくべき。

失敗談 その4 「技術室は戦場!?生徒指導の苦労と工夫」
当時、3年でキットラジオ作ってました。作るのは、低周波増幅回路で前段とプッシュプルの電力増幅回路をはんだ付けするものです。材料入れた箱をドライバ-で突き刺したり、欠席の生徒の箱から部品を取ってしまう。部品を箱から取ったり、工具で部品をちぎったりしてからかう。はんだごてでラジオのシャーシを溶かしてからかうと、やりたい放題でした。
大半は、多くはラジオ作りたいと、頑張っている生徒なのです。トラブルメ-カ-は数名、一班くらいの人数でしょうか。
これは学ぶ環境とは言えません。それどころか、学習用に供した部品が人権侵害のいじめを助長する状態でした。
この時は面と向かってはむかう感じではなく、人の目を盗んで犯行を重ねる状態でした。
特に個別対応している間に全体に目が行き届かなくなるのが問題でした。そこで各工作台に別々工具を置き、その工具はそこで作業させるようにしました。生徒は箱を持って作業したい机に部品箱を持って移動するので、常に手元の箱に材料をおくので、犯行がおこりにくくなります。
さらに私は個別指導をなるべくしなくても製作できる環境づくりにも着手しました。私は教室が見渡せるコ-ナ-の工作台上の椅子に座り、高所から教室全体を見れるようにしました。観察するとトラブルメ-カ-は群れて、おしゃべりして暇に任せて、からかう行為を繰り返すことが分かりました。高所から彼らの一挙動一投足を注視して、人の部品に手を出すそぶりがあったら、ハンドマイクで注意喚起するというシステムです。
はっきり言って、監獄の作業所といったところです。
一般生徒は先生がいろいろ工夫してやってくれていると感じてくれました。
このシステムは効果があったのですが、授業はじめの説明などしているときに、大きな声で私語をして、いうことを聞かないので、思い付きで「ラジオ作りを説明しているのに、聞こえない。妨害じゃないか」「そんなにしゃべりたければここでしゃべっていいよ」「説明聞いてラジオ作る人は隣の第二技術室に工具持って移動。」と声をかけました。ぞろぞろと移動し、二分した状態となりました。彼らにもクラス帰属意識はあるようで、10分ほどつっぱっていましたが、第二技術室に入ってこようとするので、「おしゃべりしたいんでしょ。いいよ迷惑かけずにしゃべっていれば・・・」しばらくやりとりして、やっぱりラジオを作りたいというので、にわかに信じられない。証拠を示せといい。職員室の教頭に、心を入れ替えます。と誓ってこい。といい、その後副校長が心配してトラブルメ-カ-と技術教室にきたので、作っていた一般生徒にも誓わせて、教頭も私もみんなも証人だ。よもや誓いを破ることはないだろうな?
そしてラジオ部品の入った箱に記名するところからスタートしました。
疲れました。二度とやりたくないし、若気の至りだったと思います。が毎回対策を立てて対応したことが、一般生徒の支持を得られたと思います。

失敗談 その5 「落書きとの戦い:机を黒く塗った結果・・・」
机に落書きされて、手を尽くしたのですが、止まらない。落書きの上書きで、何かいたか分からない状態です。
対応するべく意を決して、机を黒に塗りました。これなら落書きできまいと思ったら、白色で落書きする削る。机を黒く塗ると部屋全体が暗くなりよくにない雰囲気になり失敗。
それからはベニヤ板を机上に置くようにしました。生徒があさってを向いている時は何やっても生徒に届かない。こっちを向かせる「掴み」が必要と分かり、どうやったら掴めるのか試行錯誤しました。

失敗談 その5 「保健室の先生は頼れる味方!日頃からのコミュニケーションのススメ」
何かと怪我の発生する技術科ですから、着任したらすぐに保健室に挨拶へ行きましょう。保健室の先生とお友達になると、生徒が万一怪我した時、連絡や行動がスムーズになります。これを怠ると「〇〇先生は技術で生徒が怪我しても・・・」と言われなくなります。
のこぎりで指を切り、血が止まらないことがありました。生徒の指を洗浄して止血しながら保健室へ駆け込みましたが、日頃からコミュニケーションが取れていたので「あとは任せて!」と言っていただき、授業の教室へ戻ることができました。幸い大事には至りませんでしたが、所定の手続きを進めるときもスムーズに事が運びました。

失敗談 その6「発芽しないベビーリーフ:種は新しい方が良い?」
水耕栽培でロックウールにベビーリーフの種をまきました。その種は昨年買って1度開封した種。待てど暮らせど発芽せず、こっそり家に学年分のロックウールを持ち帰り、ピンセットでタネを取り除いて新しいタネをまきました。なかなか発芽しなかったベビーリーフも発芽して生徒も大喜び(撒き直したタネとも知らずに)。。。

失敗談 その7「ガソリンの燃焼実験で生徒も保護者も,そして自分もフリーズ」
かなり昔になりますが,新卒の頃に,機械でエンジンの仕組みの授業をしていたときのことです。
教科書などにも紹介されていたガソリンの燃焼実験を行いました。密閉できる蓋のある缶にガソリンを1滴たらし,中でショートさせて火花を飛ばし,蓋を1mくらい飛ばすという実験です。いくつかのクラスで行ったところ,生徒も大盛り上がりでした。
最後のクラスがちょうど授業参観日。保護者も見に来るなら失敗できないなと,混合比が最適値になるようにガソリンの量を調節し,蓋も密閉度を確認しました。
年度最初の参観日ということもあり,多くの保護者の方も来られ,いよいよ実験に。
生徒も爆発ということで,興味津々で机を囲みました。お母さん方も何が始まるのと興味深く見守っていました。
「よーしいくぞ」とスイッチを入れた瞬間,ボンとこれまでにない大きな音とともに,蓋が天井まで一気に飛び天井に激突。
缶の蓋が天井のボードの破片とともに机の上に複数落下。
あまりの威力に生徒も保護者も,そして実験をした私自身驚いてフリーズしてしまいました・・・
まあ生徒からも「あの実験は凄かった」と後で話題になっていたようで,その点では良かったのですが・・
後から考えるとかなり危険なことをしていました(ガソリンでなく,アルコールかつ容積ももっと小さい缶でやるべきでした)
安全第一ですね。

失敗談募集!

他にもこんな失敗が・・という話があれば是非ご投稿ください。


猪狩克也(広島県)

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