2002/05/22
●概要●
ロボコンの実践を進めていく中で生徒達の様子を見ていると,ロボコンに勝敗があるので優れたアイデアを隠したがった。ある生徒が「アイデア,パクるな!」と叫んでいた。こ れではお互いの良さは最終的な大会でしか分からない。それについて地区の先生方との議論から生まれたのが「校内特許制度」であった。
「校内特許制度」とは,現実の知的所有権と同様に,校内でロボットに関わる優れたアイデアやデザインを申請させ,認可,公開する(申請書 PDF形式)。公開された権利はロボット大賞などの評価ポイントに加えられ,大会前に有利になる。他チームは無断使用できず,使用したい場合は使用願いの提出義務がある。使用願い(使用願い書 PDF形式)が出されると権利を持っているチームにさらにポイントがつくという制度である。
その上で早速に校内特許制度の提案をし,用紙を配布した。生徒達がはたして乗ってくれるのか心配であったが,さっそくに1チームが提出してきた。中身に応じ助言をし,修正,加筆させてから認可をした。
次の時間に掲示板を設置。認可された実用新案や商標を掲示した。多くの生徒が掲示板に見入っている。これを気に生徒達の間で”特許競争”が始まった。こ の試行錯誤の中から様々なアイデアが出てきた。また実用新案や商標,意匠と分けることで,機構などまでは工夫できないがロゴとかデザインなら,という多様 な取り組みも生まれた。さらにリモコンの持ち手の工夫など汎用的なアイデアはいくつかのチームから使用願いが出された。優れたアイデアは客観的に評価さ れ,広まるのである。
実用新案の例(リモコンの持ち手の工夫) (活用したい場合、他のチームが使用願いを提出)
オリジナルロゴなどは商標として
特許にしたが最初は実現不可能と思われ、・・ 何と実際に形になった(クリックするとリアルビデオの映像が見れます)
認可されるには,図と文章でアイデアを的確に表現する必要が出てくる。今までは創意工夫といっても,最終的に作品として形にするか,カードに書かせるか しなかったが,校内特許制度によりアイデア自体が図や文章で形として残せることで,創意工夫の評価につなげていくこともできる。さらにデジタル化すると校 内特許データベースに発展できそうである 。
●資料●
現実の特許制度については,特許庁等の資料を元に特許や著作権の概要,意義など説明した。
実際の特許や実用新案などは特許庁で公開していますのでご覧ください。いい資料になります。
特許庁の特許電子図書館(初心者向け)
特許(工業所有権)については同じく特許庁のページにあります。また副読本もあり、送っていただき、活用できました。
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投稿者:村松浩幸(信州大学)
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