救世主はプラスチックの板だった
【PR記事】AkaDako物語 第3回 ※第2回はこちら
救世主はプラスチックの板だった
~娘の言葉がつないだ掛け橋~
文:高松基広
イラスト:青空とんぼ
前回お話しした通り、当時のAkaDakoは完全に崖っぷちでした。
・世界的な半導体不足により、発売1ヶ月で製造停止
・先生方からは「現場では使いにくい」と手厳しいダメ出し
・iPad有線接続の夢は、Appleの厚い壁(MFi認証)に阻まれ頓挫
追い打ちをかけるように、確保していた研究開発費も底をつきかけていました。
しかし、実はこの絶望の裏側で、僕の人生を、そしてAkaDakoの運命を大きく変える「もう一つの物語」が動き出していたのです。
■「先生がイイと言った時じゃないと使っちゃだめ」
時計の針をさらに少しもどしましょう。AkaDakoの開発に着手する少し前、朝食の席での娘(当時中学2年生)との何気ない会話です 。
僕「GIGA端末、ガンガン使ってる?」
娘「使ってないよ」
僕「えっ?なんで!?(驚)」
娘「落として壊すといけないからキャビネットにしまってあるの。先生がイイと言った時じゃないと使っちゃだめだからね」
僕は、文具のように毎日、子どもたちが主体的かつ自由に使い倒してこそGIGA端末の意味があると思っていたんです。
驚いている僕に対して、そんなの当たり前だと言わんばかりの娘の眼差し。
娘は学校の「ルール」として当然のように受け入れ、疑問すら持っていません。
これじゃあ、確かに落として壊しますよね😅
僕は、
「机が狭い問題を解決しないとGIGA端末は文鎮化するんじゃね?」
と考えるようになります。
| 【学習机豆知識】 ◯B5サイズからA4サイズ時代へ 学習机には新JIS規格と旧JIS規格があるのをご存じでしょうか?これは、昭和から平成にかけて、教科書やノートがB5サイズからA4サイズにシフトしたのに伴い1999年に改定されました。それぞれの主流の天板サイズは ・旧JIS:横600mm✕奥行400mm✕厚さ約18mm ・新JIS:横650mm✕奥行450mm✕厚さ約18mm になります。 四半世紀経った現在、シェアは半々ぐらいな状況です。◯一人一台端末時代へ 2020年からスタートしたGIGAスクール構想で、一人一台端末が導入された結果、天板面積不足問題が再燃しています。一部では、横700mm✕奥行500mmの机を導入する学校も現れ始めています。 |
■百均と無限試作と集合知
なんかいいアイディアないかなぁ〜と、ダイソーをウロウロしていて、ふと目にとまったのが一枚の木の板。

「狭くて落とす問題を100円で解決できたら良くねぇ?」
と、早速、会社のレーザーカッターで試作を開始しました。

試作その1.突き出して後ろにストッパーのあるバージョン
教科書をおけるようにするには、突き出し量がたりないことが判りました。 試作その2.突き出し量が可変できるバージョン
これはわりと良かったのですが、教科書をおけるようにするには10cm程度は突き出さないと実用的にならず、突き出し部分が邪魔になると考えました。
試作その3.突き出し部分を折りたためるバージョン

突き出し10cmは邪魔なので、使わない時はパタンと後ろに折り畳めるようにしてみました。
ただ、僕はこの時、社会と同じように机の上に端末を常設できて初めて、主体的に自由に使える文具になれると考えていました。
「これじゃぁ、まだ先生はキャビネットにしまったままにするんじゃないかな…」
「回転部分で子供が指をはさんで怪我しちゃうかも」
という可能性が高いと考え却下。
試作その4.突き出しをやめて、上に持ち上げる3Dバージョン
「んじゃぁ、突き出すのやめて、上に持ち上げればいいんじゃね?」と作ってみたのですが、余計落としそうなのでこれも却下(笑
これらの写真をT先生に見せたところ「おもしろいからネットで公開してみたら?」とのアドバイス。
で、書いたのが
「学校の「机が狭い問題」を解決しないとGIGAスクールのPCは文鎮化する?」https://asondemita.hatenablog.com/entry/2020/10/19/081217
というブログ。
これがなんとこれが大バズリ!
いやー、みんな同じことを思っていたんですねー☺
「よーし!それなら、一丁、製品化を目指してみるか💪」と、一念発起したのです。
■バ◯男子が座って壊す
早速、得意になって、ユーザー様である娘に試作品を見せたのですが…

娘「こんな形状じゃバ◯男子が座って壊すよ」
と一刀両断💦
ここからは道具を3Dプリンターに切り替え、試作をしては娘にダメ出しを食らうバトルが始まりました。


娘「それじゃ、『起立』の時に椅子で壊すってば」
娘「それじゃ、バ◯男子が走り回って引っ掛けるよ」
娘「それじゃ、邪魔でグループ学習が出来ないでしょ」
娘「それじゃ、掃除の時に机が重ねられないよねえ」
:
そして、最終的に娘にOKをもらえたのがこれ

もうみなさんご存じ、天板の後ろからカポッとはめるあの形状でした。
※この構造は後に特許になりました(特許登録第7549884号)*詳細は特許庁J-Plat-patで検索
■まさかの大ヒット商品に!
これを、内田洋行さんに見せたところ、いきなり商品化が決定!
なんと、すでに確定していた年間カタログのスペースを無理やり開けていただけることに。
しかし、ここからがまた大変だったんです。
「製造は自社でやります!」
と大見えを切ったまでは良かったのですが、プラスチック成形なんて手掛けたことがありません💦
年間カタログの発刊まで約半年。
時間との勝負です。
ここで、救世主が現れます。
プラスチック成形・量産化のレジェンド小美濃 芳喜さんです。
ダメもとで
「力を貸してください!」
と頭を下げると、なんと、二つ返事で快諾。
まさに「ものづくりの神」が舞い降りた瞬間でした。
小美濃さんと相談した結果、製造は中国で行うことに決定。
しかし、時はコロナ禍の真っ只中…。
現地に行って工場と交渉する事が出来ません。
しかし、そこは流石のレジェンド。
現地の工場との交渉を驚異的なスピードでまとめ上げてくれました。
また、小美濃さんの指導のもと、開発部長 森田くんが金型の雛形を設計。
それを基に工場で作ってもらったサンプルを空輸で送ってもらう方法で試作を繰り返していきました。
そして、2021年4月10日。
中国からの第一便、製品1,105個を積み込んだコンテナが日本に到着。

内田洋行さん・スタッフと共に固唾を飲んでコンテナを見守ったあの日の青空は、今も我々の脳裏に焼き付いています。
こうして産声を上げた「天板拡張くん」。
発売後、多くの先生方や関係者に支えられながら、発売から2年で10万台を超える大ヒット商品へと育っていく事になりました。
まさか、娘との何気ない朝食の会話から、STEAM教育やアントレプレナーシップ教育に登場するような物語を僕がガチで実践することになるとは思いもよりませんでした(笑
いま思い返してみても、娘とのバトルが無かったら、このスペックにはなっていなかった思います。

娘には感謝しかありません。
■AkaDakoに全部!
普通の経営者ならここで、
「AkaDakoなんて諦めて、天板拡張くん一本で儲けよう」
と考えるに違いありません。
でも、僕はやっぱりバグっていたようです。
「この利益を全部、AkaDakoにぶっ込もう!」
迷いなくそう呟いた僕に、何も言わずにいてくれたスタッフに今さらながら感謝です。
(言えなかったのかなぁ~笑)
資金はなんとかなりそう、しかし半導体はまともな価格では入手不能、そしてAppleの壁は?
次回、苦難の逆転劇。ついに「2代目AkaDako」が産声を上げます。お楽しみに!
【筆者プロフィール】
株式会社ティーファブワークス 代表取締役 高松基広
連載:子供の科学「AkaDakoものづくりラボ」(誠文堂新光社)
編集協力:
中学校教科書「新しい技術・家庭」(東京書籍)
高校教科書「情報Ⅰ」(開隆堂)
著書:「micro:bitであそぼう!」(技術評論社)
発明・開発:天板拡張くん、ふきだしくん、AkaDako、他
Facebook : https://www.facebook.com/asondemita
※友達リクエスト大歓迎ですがメッセージを必ず添えてくださ~い!
【イラスト】
青空とんぼ https://x.com/Tombo_Aozora

【編集協力】
加藤 良子 https://www.instagram.com/nagako_kt/
西尾 琢郎 https://www.facebook.com/orukat24
【AkaDako】
公式サイト: https://akadako.com
教材集: https://699.jp
無料オンライン研修: https://699.jp/6 ※試供版Akadakoを事前にお届け
コミュニティ:https://www.facebook.com/groups/akadakoforeducation
AkaDakoニュースレター:https://akadako.com/newsletter/
お問い合せ:https://akadako.com/contact/
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