Re:CADで始めるものづくり

1.教材の概要
 本教材は信州大学教育学部の講義「技術科教材論」におけるディジタル作品教材提案の『「作ってみよう!」で作ってみよう』(頓所、勝見、手塚、小岩)を改良したものである。
元の教材では3次元CADソフトウェアを使用してそのデータをもとに生徒同士が発表を行っていたが、本教材では実際に作品を3Dプリントすることで、より製品設計から製造の流れを体験的に学べるように改良した。
教材の概要は、教育用に開発された3次元CADソフトウェアである「作ってみよう!V2」を用いて、3次元方式による設計から作品の製作までを生徒が体験することで、仮想空間における3次元ディジタル生産の技術について学ぶものである。CADを用いた設計では、生徒が自分自身の生活をよりよくするための物を考えて設計し、その後CADを用いて生徒が設計した作品を3Dプリンタで出力し、作品についての改善点等をまとめ、相互に発表しあう。

2.教材の特徴
 3次元方式による設計から作品の制作までを行うことは、手作業での製図、加工の理解に加えてコンピュータやディジタル加工機を用いた製造業で使われる技術への理解を育むことができる。
3次元CADソフトウェアは無償で利用できるものとしてはAutodesk社のFusion 360などがあるが、多機能かつ高機能であるためCADを初めて学ぶには敷居が高い。今回教材として扱った「作ってみよう!V2」は3次元CADソフトウェアとしての必要な機能を備えつつ、XYZベクトルの3軸空間での設計を感覚的に見て行うことができる。
設計のみで終わらせずに、作成したデータを3Dプリンタで出力することで実際に使っての改善を考えることが可能になる。

3.単元内で取り扱う学習内容
D情報に関する技術
(2) ディジタル作品の設計・制作
ア メディアの特徴と利用方法,制作品の設計
イ 多様なメディアの複合による表現や発信

4.教材の紹介
(1)使用材料
作ってみよう!V2 体験版 株式会社アバロンテクノロジーズ
・ダヴィンチ mini w XYZプリンティングジャパン
・PLAフィラメント XYZプリンティングジャパン

(2)教材の説明
「作ってみよう!V2」には使い方を学べる練習問題がついている。これを活用してまずはソフトの使用方法を学ぶ。3次元方式による設計が企業などの実際の産業の中でどのように活用されているのか理解を深めた後に生徒自身が自分の身の回りの製品でこんな機能があればよい、もしくは、こんなものが欲しいという作品案を考えて、CADを使ってリメイク、デザインを行う。
「作ってみよう!V2」で設計したデータはSTLファイルとして保存が可能であるため、3Dプリンタで出力をすることができる。設計したデータを印刷して、それについての設計製作の流れをまとめて相互に発表を行う。

「作ってみよう!V2」での製作の様子

5.教材を使用した単元展開例と授業例

授業概要 時間 使用教材
3次元CADソフトウェアと産業

作ってみよう!V2を使ってみる

作ってみよう!V2での設計と製作

作品のまとめと相互評価

1

1

3

2

作ってみよう!V2
3Dプリンタ(ダヴィンチmini w等

 

段階 学習活動 指導・支援・評価
導入 <学習問題>CADを使用したものづくりはできないだろうか。
生徒の身の回りであったらうれしい物、改善したい物について考えてもらう。
CADが産業でどのように使われるのか学んだあとで、
生徒の身の回りでの活用を考えるように促す。
展開 <学習課題>作ってみよう!V2を使って私の生活をよりよくするものの設計をしよう。
・実際にCADを用いて設計を行う。
いきなりCADを用いず、まずは平面での設計図を書いてもらう。
・製図をもとにCADでデータを作成する。
つくりたい物をCADで設計することは難しい面があるため、
まず、二次元での製図を行ってからCADに取り組む方が、
何を つくっているのかが見えるようになり、作業が進みやすい。
まとめ 本時の授業の振り返り 生徒の進捗状況によって製作時間を次時も確保する。



7.参考文献
・坂口謙一 編著 教科教育学シリーズ⑩技術科教育 (2014) 一藝社 pp.156-168
・田中浩継 新編新しい技術・家庭科 技術分野 未来を創るTechnology (2016) 東京書籍 pp.218-233
・AUTODESK  http://www.autodesk.co.jp/  (最終確認日2017/01/29)
・XYZプリンティングジャパン ダヴィンチ mini w http://jp.store.xyzprinting.com/jp_ja/catalog/printer/indexPrinterMiniW (最終確認日2017/01/29)
・中学校学習指導要領解説 技術・家庭編 (2008) 文部科学省


投稿者: 小岩泰輔(信州大学)
※この教材紹介は,信州大学教育学部「技術科教材論」の授業課題として作成しました。

Print Friendly, PDF & Email

Follow me!

関連するお勧め教材


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください