ペットボトル植木鉢を使った授業実践記録

※資料のPDF版はこちら

1.準備

 2Lペットボトル(植木鉢用)、カッター(ペットボトル切断用)、きり(穴あけ用)

網戸の網50×50㎜(土が漏れないようにするため)、ビニルテープ(名前札用)

野菜用土(今回は1袋98円のものを20袋購入:170名分)

種(今回はグリーンリーフ・ロケットルッコラ・ベビーリーフミックスの3種:それぞれ3袋ずつ)

※  途中から使用

葉の育ちがよくなくなってきたら:ハイポニカ液体肥料(2Lのペットボトル6本に薄めて入れておく)

持ち帰らせる日に3・4粒使用:化成肥料300g程度(今回はマグアンプを使用)

 

2.作業(植木鉢づくり)
①    ペットボトルのキャップとラベルを外し赤線のところで切り分ける。
②    アの部分を逆さまにし、斜めになっている部分にキリで穴をあける。根の空気穴になるため、できるだけ多く開けたほうがいい。
※  アの切断面はヤスリできれいにするかテープを貼ると野菜の葉を傷めない。
③    アを逆さまにし、イと合体させる。ペットボトルの底にペットボトルの口があたるか当たらないくらいにしたほうが根を出しやすい。
④    アの部分に土を入れる。土が漏れるのを気にする生徒には網戸用の網を敷かせてもよい。
⑤   植木鉢の上から水をたっぷり入れ、イの部分には4㎝ほど水を貯める。
⑥   植えたい種を表面にパラパラとまく。
※ 種は「ベビーリーフミックス」「ロケットルッコラ」「グリーンリーフ」の選択制にし、それぞれの育ち方や食べ方などを説明し、生徒に選ばせる。

 

3.授業の様子

 毎時間の授業は次のように行った(写真は次ページ)

 

 

<授業風景の写真>

 

4.生徒の感想から

 単元を終えての生徒の感想をいくつか紹介する。この他にもたくさん前向きな意見が出ている。ものづくりや生産技術の入り口の授業として十分な成果をあげることができた。次年度に向けてまた何かやってみたいと考えている生徒も多いが、授業時間として取ることは難しいため、宿題などで対応したい。

 ◯虫がたくさんついたものと全くつかないものがあった。野菜によって虫の好みがあり育て方や手入れの仕方に違いがあることが分かった。

 ◯農薬を使わない野菜を作ることが大変で、だから無農薬野菜は高いということが分かった。

 ◯簡単に野菜を作れることが分かった。家でも何か育ててみたい。

 ◯小学校の頃はただ植えて、収穫しただけだった。こんなに大変な手入れを誰かがやってくれていたんだと思うとお礼を言いたい。

 ◯先生、来年は何を植えるんですか?母がハーブがいいと言っています。

 

5.ペットボトル植木鉢を使った授業のよさ

 ◯ある程度見栄えのする大きさの物を育てることができる。

 ◯今回選んだ葉物野菜は日常的に食卓に上がるものであり、身近に感じやすい。

 ◯水を一週間に一度程度しかあげなくてよい。また、水が枯れているかどうかを見ただけで管理できる。

 ◯根の様子まで観察できる。

 ◯安価で一人一鉢なので責任をもって生物育成に関わることができる。

 ◯教室に持ってきて観察・手入れができるため生徒の様相チェックもしやすい。

     

根の様子:伸びているものほど葉も育っている
 
水の管理がしやすい

 

 

 

 

 

 

     

 

6.ペットボトル植木鉢を使った授業の成果と課題

 ◯座学の授業を25分にしたため、生徒も飽きることなく授業についてくることができた。

 ◯書画カメラの威力は大きかった。今後書画カメラ抜きの生物育成の授業は考えられない。

 ◯実習と知識重視の授業を一時間の中で組み合わせることにより、友だちの植木鉢と比較したり、新しく知った知識を生かしながら育たない理由を考えたりさせることができた。

 ●葉っぱが大きくなりすぎたり、台風の影響の強風があったりで倒れることがあった。名札を上と下に二枚貼らせておくと、倒れて転がったときに分かりやすい。

 ●直射日光があたることで水にコケや藻が生えることがあった。管理面を考えて今回は遮光をしなかったが、藻が液体肥料の養分を使ってしまい野菜に回る栄養が少なくなることなど成長面での説明が必要だった。

 ●今回は勝手に立ち入りできないベランダで育てたため、気になっている生徒が窓越しにしか観察できない状況であった。誰でも自由に出入りできる場所で育てたいが、イタズラや事故のことを考えると難しい。

 ●虫が大量発生し、悲しい思いをした生徒がたくさんいた。できれば成功体験を持たせ、関心意欲を高めたいところである。幸い間引きをしたものを植えたり新しく種をまいたりして、他の生徒よりは成長は遅いが何とか育つところまで追いつけた。今後品種を考える必要がある。

 

7.ペットボトル植木鉢を使った授業のその後

 最後の授業は「日常手入れの技術」を行い、レジ袋2枚重ねの中に、水を抜いた植木鉢を入れ持って帰らせた。植木鉢は3週目あたりから野菜の育ちが悪くなり、液体肥料をやっていた。最後の時間に化成肥料を3・4粒植木鉢にいれさせた。また、希望者にはペットボトルを持ってこさせ、液体肥料を分けた。

クラス担任には一言ことわりを言っておき、本日持ち帰らせることを伝えておいた。給食の時間に担任の先生が一緒に生野菜を味見してくれたと子どもたちもうれしそうに報告にきた。

家庭環境はバラバラで、家庭でうまく育ててくれるところとそうでないところの差はあるが、たいていの保護者には好評で、ある保護者からは感謝の手紙もいただいた。

来年はシソやバジルなど害虫に強く、一家に一本あるとうれしい野菜にしてみようかとも思った。

※この教材紹介は,Faceobook「技術教室グループ」 での投稿を転載したものです。

 


 

                             投稿:辻 さやか(福岡)

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