文化祭でツマヨウジアート 製作編
1.はじめに
本校は文化祭の企画の1つとして、全校制作で47000本のツマヨウジアートを作成した。作品自体も予想以上の出来映えになり、生徒達も感動していたが、似たような企画は多くの学校で行われると思われる。そこでこのツマヨウジアート制作の過程を紹介し、特に途中のデジタル処理でどのように効率的に作業を進めていくかを紹介したい。
画像の基本処理は以前行ったタイル画とも重複するが、再度紹介
2.画像のデジタル処理
(1)デジカメで撮影
文化祭テーマや新校舎が完成する節目という関連から、新校舎をデザインしようということに決定した。当初1円玉アート(アフガニスタン募金も行ったので 終了後、募金にする)、ツマヨウジで校舎模型があったが、節目の年で残せるものにしたい、という希望からツマヨウジで検討を開始した。 参考にしたのは高校の文化祭の資料
「 感動の全国文化祭作品集」 |
これらを生徒達とチェックし、「ツマヨウジアート」に決定した。元の写真をいくつかのアングルから生徒がデジカメで撮影し、全校アンケートを実施し、元の写真が決定した。
絵の大きさは、コンパネ3枚で行くことに決定したので、その大きさから全校の人数を元に書記の生徒がエクセルでシミュレーションし、板が 100mm×110mmの大きさで432枚、1枚の板に10mm間隔で110本、ツマヨウジ全部で47000本必要という結果が算出された。この結果か ら、処理すべき画像のサイズ(ドット数)が276×176ドットと決定した。
(2)減色処理
フルカラーの画像をドット画になるようにまず色を落とす減色処理を行います。有名なフリーソフト「ViX」で可能です。また2色にすると白黒画も作成可能。 そして文字を入れて原画が完成。 |
(3)色パレットの統一
これで先の色見本のRGB値に合わせると一気に全ての色が変換されます。今回は色をスプレーの色に合わせました。この後再度グラフィックソフトで細かい調整をして完成図を作ります。この調整がかなり重要。 |
(3)方眼を引き、製作分担図を作成
仕上げはクラス単位に割り振るために方眼を書いてあげます。しかし1ドット単位では線を引いても真っ黒になってしまうので、再びグラフィック ソフトで整数倍(今回は縦横5倍)に拡大してから、画像に方眼を引くソフトを使いました。総ドット数から各クラスの班毎に分けた大き さで太めの実線を引きます。区別がはっきりするように黄色で線を引きました。これで作成した図を各クラス毎に切り出して、印刷するとクラスの指示書ができ あがります。 「方眼紙 2.0」 フリーソフト 海田およぐ氏作
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指示書全体図 それをクラス毎に分割した物
(4)ドット数のカウント
タイル画の原画ができたら次はどの色のツマヨウジが何本必要かを確認します。手で数えていたらとても大変なので、1つのドットを指定するとそれがいくつあるかを調べてくれるソフトを使用します。ルーペが使えるので1ドット単位で指定できます。これは便利!
ドットの面積 クラス毎の指示書も同様にカウントすると、各クラスに何色を何本配ればいいのかが計算されます。 |
3.板の加工
文化祭の資料では大抵スタイロフォームなどに刺しているが、これでは長期保存に耐えない。そこで長期保存に耐えるよう、板に刺すことにした。
(1)板の切断
コンパネを昇降盤で100mm×110mmのサイズに切断。予備も考慮し、470枚ほど切断する。コンパネ3枚であるがキリしろや余分のため、実際はコンパネ4枚を必要とした。 また枠は2×4材を使用し、なるべく簡単にできるようにした。 |
(2)穴の切断
穴は2mmの穴を開けることにしたが、1枚の板でも110個の穴を開ける必要がある。そこで少しでも作業量を減らすため、2枚1度に開けられるアダプターを作成した。試しに3枚開けられるものも作成してみたが、ブレが大きく断念した。 後は人海戦術で役員や担当委員会の委員の子が行ったが、細いドリルのために、ドリルを折ることが多く、思わぬ支出が出た。 穴あけは6台のボール盤をフルに使って行い、約1週間を要した。また穴開けと並行し、ヤスリがけも行って仕上げた |
(3)ツマヨウジの着色
ツマヨウジの着色は当初ポスターカラーにつけて一気に着色案があったが、ヨウジ自体がくっつき、引き離す手間 がかかると考えた。そこでスタイロフォームに適宜刺し、カラースプレーで着色した。一気にできるし、乾燥も早い。また刺した箱ごとにおよその本数が分かる ため(約1350本とか記載されている)クラスの配分も容易になるのでは、と考えた。ヨウジを刺した後、色の本数毎にスプレーで着色をした |
(4)板に座標を書き入れる
クラスに配布するために、縦軸にA~Q、横軸に1~27を組み合わせ、板の裏にA-1mなどと記入した。同時に枠の中に板が全部はいるかも確認。入らない板は木口削り器で木口を削った。 |
(5)クラスに配布
指示書と共に委員が各クラス分を持っていき、説明し、ツマヨウジを刺した。クラス分がそろった段階で、クラス 担当部分を並べてみて、間違いがないかどうか確認させた上で回収をした。手軽な作業ではあるが全体像が分からないので、一体どんな仕上がりになるのか、生 徒達の興味を引きつけたようであった。 |
(6)いよいよ1枚の絵にする!
回収された板を確認し、ズレがあるものは定規で修正し、枠にボンドで順次固定をしていく。 接合が進むに連れて全体像が姿を現しだし、作業をしている生徒達から驚きの声が上がる!そして約半日かけて432枚全ての板が枠に中に納まって無事に完成をした。 |
また同時に壁面に固定する場所がないために、フォトスタンドのようなスタンドを使って展示することにした。このスタンドも2×4材を使用して作ったものである。技術室から出せるように組み立て式とした。
(7)完成で文化祭で披露!
幕がおり、スポットが当たった瞬間、大きな歓声に包まれた。作業に関わった生徒達も大満足であった。 展示完成写真も拡大できます |
4.終わりに
今回紹介したデジタル処理は1昨年行ったタイル画の制作でのデジタル処理を元にしている。これは紙のドット画やアルミ缶等でも様々な応用が可能で ある。デジタル処理により、作業のかなりの部分が効率化され、手作業では実現できにくかった作品の制作が可能になる。ぜひまた機会があれば利用、応用いた だきたい。
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