町長になって電気の未来を考える――「エネルギーシティ」
私たちが毎日使っている電気は、必要な量とつくる量が、常にほぼつり合うように調整されています。しかし、太陽光や風力などを増やしていくと、天候や時間帯による発電量の変化、蓄電池、発電コスト、地域との合意形成など、さまざまな課題を同時に考える必要があります。
そこで紹介したいのが、町長や大臣になってエネルギーの選択を体験的に考えるWeb教材「エネルギーシティ」です。
▶ エネルギーシティを開く
Web アプリ(インストール不要・シナリオ 各部 約15〜20分 / 大作戦3D 1チャプター 約5分 / おまけ 約20分)
開発:高野健人 ※開発アプリをまとめた「Open Edu Tech Lab」はこちら
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電気の「つくる量」と「使う量」を、1時間ごとに考える
本教材は、発電所を選び、町の一日に必要な電気をまかなうシミュレーションです。
太陽光、風力、火力、水力、地熱、原子力、蓄電池などを組み合わせると、晴れの日、雨の日、風のない日、猛暑の日などで結果が変わります。発電量が不足すれば停電が起こり、余れば電気をためたり、使い切れない電気を減らしたりする必要があります。
特徴的なのは、年間の平均値だけでなく、1時間ごとのグラフで結果を確かめられることです。例えば、太陽光発電を増やしても夜間には発電できないこと、雨の日には発電量が減ること、余った電気を蓄電池だけで受け止めることにも限界があることなどを、操作と結果の比較を通して考えることができます。


クリアして終わらない、比べて考える仕掛け
エネルギーシティでは、停電させないことだけが目標ではありません。
選択した発電方法を、次のような複数の視点から捉えます。
- 安定供給:停電しにくいか
- 環境:ライフサイクル全体で見たCO₂排出量はどうか
- 経済性:建設費、燃料費、発電コストはどうか
- 安全性・自給率・社会:災害への強さ、輸入燃料への依存、地域の人々の声をどう考えるか
シナリオでは、町の成長、燃料価格の変化、大地震、雨の日の継続、温泉地や漁業関係者からの意見など、現実のエネルギー問題に通じる条件が登場します。
どの電源にもよさと課題があり、すべての条件を完全に満たす選択は簡単ではありません。だからこそ、「何を優先するのか」「何を補う必要があるのか」を考え、根拠をもって説明する学びにつながります。
町から日本、そして2050年へ
教材には、段階的に学びを深められる複数のモードが用意されています。
シナリオ「町の電気をまかされた!」
町長として、発電所や設備を選び、町の電気を安定して届けることを目指します。グラフから停電した時刻や余った電気を読み取り、設計を改善していきます。
日本エネルギーミックス大作戦 3D
火力、原子力、水力、太陽光、風力、地熱・バイオマスなどの割合を調整し、日本全体のエネルギーミックスを考えるモードです。CO₂、発電コスト、停電しにくさ、国産率などを比較しながら、自分の考えを「エネルギーミックス宣言」としてまとめます。
町の地図で2050年へ
発電所は、決めたらすぐに完成するわけではありません。建設には年数がかかり、既存の発電所には引退の時期があります。このモードでは、「どこに」「いつ」建てるかを考えながら、2050年までの長期的なエネルギー計画を立てます。

技術の授業で、話合いを深める
「エネルギー変換の技術」では、社会からの要求、安全性、環境への負荷、経済性などの視点から、技術を評価し活用することが大切です。
本教材は、こうした技術の見方・考え方を、単に知識として覚えるのではなく、自分で選び、試し、結果を比べ、考え直す過程で学ぶことができます。
例えば、授業では次のような問いが考えられます。
- 太陽光発電をもっと増やせば、町の問題は解決するのだろうか。
- あなたの町が最も弱いのは、どのような日だろうか。
- CO₂を減らせても、別の課題は生まれていないだろうか。
- 発電所の近くに住む人に、どのように説明するだろうか。
- 国のエネルギー計画と自分の案は、何が違うだろうか。
個人で操作した後に、異なる選択をした生徒同士で結果と根拠を比べることで、「正解を当てる」だけではない、対話的な学びへ発展させることができます。

データを手掛かりに、現実の社会へ
教材内の電力需要、天候による発電量の変化、発電コスト、CO₂排出量、電源構成などは、公的な統計や審議会資料等を参考に構成されています。
もちろん、ゲームは学習のために単純化されたモデルです。しかし、そのモデルで試した結果を出発点に、「実際の数値はどうなっているのか」「地域によって条件はどのように違うのか」「これからのエネルギー政策はどうあるべきか」を調べる探究へつなげることができます。
エネルギーシティは、発電の仕組みを学ぶだけでなく、技術と社会の関わりを自分事として考えるための教材です。技術科はもちろん、理科、社会、総合的な学習・探究の時間でも、ぜひ活用してみてください。
投稿者:高野健人(長野県)
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