新幹線ノーズ形状を極める

新幹線の顔(ノーズ形状)にはいろいろな種類があります。 一番最初の0系は戦時中の航空機の形を真似て設計され、全体的に丸みがあります。次に登 場した100系は0系よりかなりシャープな長い顔になりました。92年に登場した300系はスカート部を設けてタイヤやパンタグラフを隠しました。

 その後も新幹線は進化を続け、現在では円筒形で細長く戦闘機を思わせる500系や水中の生物のようなE4系などさまざまな顔をした新幹線が走っています。それでは、時代とともに変化してきた新幹線の顔はどのようにして決められているのでしょうか。

 

 私たちがプールで泳ぐときのことを考えてみましょう。うまく泳ぐためには、腕や足を動かして体の周りの水をうまくかいて流さなければなりません。 私たちは普段、体の周りの空気が邪魔であるとは思いませんが、高速になると空気もプールの水のように邪魔になるのです。これを空気抵抗といい、空気をス ムーズに流すためにはできるだけこれを減らす必要があります。

 空気抵抗を知るためにの代表的な実験がスケールモデルに高速の空気を流して、その時の圧力分布や流れを観察したりする風洞実験です。特に、実用化に向けては、高速走行時の騒音や振動の問題を解決するための実験が行われています。

 
 写真にあるのは、本校にある風洞実験装置であり、時速約100kmまでの風を出すことができます。風洞の入り口に模型を置き、圧力分布を知りたい部分か らチューブを出して、その部分の圧力を測定します。圧力を測定するのは、水中マノメータという装置で、これはストローで飲み物を吸い上げるのと同じ原理で す。実際の実験では、模型の縮尺と風速の縮尺をあわせる必要があります。(流体力学ではこれをレイノルズ数を合わせるといいます。)写真は、本校で新幹線 ノーズ形状が異なると圧力分布がどのように変化するかを実験したときの模型です。この模型は生徒たちが設計図を見ながら発砲スチロールを電熱線とやすりを 用いて作成しました。実験の結果やはり、500系のような円筒形の長いノーズ形状のものが各部分の圧力分布が滑らかであるということがわかりました。

 また、模型に細い糸を付けて流れを見たりする流れの可視化の実験も行いました。


投稿者:門田和雄(東京工業大学附属科学技術高校) 

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