技術科の先生を目指すなら今

中学校技術科の教員免許状について,ここしばらくで様々な動きがありましたので,まとめておきます。

1.教科に関する専門的事項に関する科目の見直し
以下のように技術科の免許に関わって,専門的事項の科目数が6から4に削減されました。必要単位数は変わりませんが,特に二種免許など出しやすくなるかと思うので,技術科の免許を出してくれる大学の増加や,認定講習などで取りやすくなることが期待されます。

・「木材加工(製図及び実習を含む。)」と「金属加工(製図及び実習を含む。)」→「材料加工(実習を含む。)」
・機械(実習を含む。)」と「電気(実習を含む)→「機械・電気(実習を含む。)
・「栽培(実習を含む。)」→「生物育成」
・「情報とコンピュータ(実習を含む。)」→「情報とコンピュータ」

文部科学省:教科に関する専門的事項に関する科目の見直しに対応した教育職員免許法施行規則 の一部を改正する省令案について(概要)
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20230810-mxt_kyoikujinzai01-000002456_4.pdf

文部科学省:教科に関する専門的事項に関する検討資料(課程認定大学や教員免許の状況などの基礎資料)
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000233938.pdf

文部科学省:技術科の教員免許状を取得できる大学一覧(R5年現在)
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mext.go.jp%2Fcontent%2F20240201-mxt_kyoikujinzai02-100002439_7.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK
※新たに大阪工業大学が追加

2.技術科の教員採用試験の採用状況と採用試験対策
各都道府県の技術科の教員採用状況が一覧されています。どこも以前より倍率が下がっています。今がチャンス!
教採ギルド(KYOSAI GUILD):【技術の先生になるのは難しい?】中学校「技術」の倍率一覧|教員採用試験
https://kyosai-guild.com/bairitsu-gizyutsu/

技術科の採用試験を受ける際に,教員採用試験の参考書がなく困っているという話を聞きますが,その際に頼りになるのがこちらの書籍です。

技術科教員指導能力認定試験・中学校技術科教員採用試験 2021年度参考書
https://jste.info/support/archives/181
※教員採⽤試験に挑戦する⽅々には,他教科においては関連の参考書が多数出版されているのに対し,残念ながら,中学校技術科の参考書はこれまで出版されていませんでした。技術科教員を⽬指す⽅々にとって少しでもその助けになればと,日本産業技術教育学会の各内容の専⾨家が,全国の教員採⽤試験を元に,参考問題を作成し,解説したのが本書の前半部分です。

また,こ参考書を元に,技術科教員指導能力認定試験という試験もあります。採用試験前の力試しにどうぞ。オンラインで受験可能です。
https://jste.info/nintei/

3.技術科の正規教員が足りていないことの公式な調査結果公表
以前より,技術科の正規教員の不足は指摘されていましたが,この問題についての
文部科学省:中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制の一層の充実について(通知)
https://www.mext.go.jp/content/20240209-mxt_jogai02-000006333_1.pdf

・技術・家庭科(技術分野)を担当している教員 9,719 人のうち、2,245 人が臨時免許状(技術)又は技術の免許外教科担任
・教員の採用・人事に責任を持つ各都道府県・指定都市教育委員に対し,指導体制の改善計画の提出を求めた。
・中学校技術・家庭科(技術分野)専任の指導主事を置いていない都道府県等が全体の約 15%(10 自治体)に上る。初等中等教育全体を見通した指導行政の体制強化を求めた。
・施策パッケージとして,指導体制,コンテンツ,研修について各種施策を実施
・中学校技術・家庭科(技術分野)に関する研修の積極的な推進

報道
読売新聞:「技術」の中学校教員、23%に正規免許なし…2028年度までの解消目指す
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20240213-OYT1T50117/
教育家庭新聞:文科省、中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制に関する実態調査結果を公表
https://www.kknews.co.jp/news/20240215o02

これに対し,一般社団法人日本産業技術教育学会は,技術分野の指導体制への支援要請や積極的な広報活動、技術科教員の養成・研修などを通して支援していく意見表明。

一般社団法人日本産業技術教育学会「『中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制の一層の充実について(通知)」対する意見』」
https://www.jste.jp/main/teigen/240216_iken.php
以下を進めていくとのこと。
1.中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制への支援要請と広報の充実
2.技術科教員養成と技術科教員研修への積極的な取り組み
3.新しい技術教育への取り組み

関連報道
教育新聞:「研修で指導力向上を支援」 技術科の教員不足受け、学会が表明
https://www.kyobun.co.jp/article/2024022202
教育家庭新聞:https://www.kknews.co.jp/news/20240220o04
ReseED教育業界ニュース:https://reseed.resemom.jp/article/2024/02/21/8192.html

NPO法人みんなのコード:中学校「技術分野」の教員不足が解決されるのは2028年度?文科省の調査を解説!
https://note.com/codeforeveryone/n/n7594a008fb97

4.技術科はイノベーティブで面白い!
技術科の魅力を文科省教科調査官が語っています。
「小学校のプログラミングと、高校の「情報」をつなぐ、中学校の「技術」。イノベーションの素地を育成し、社会課題の解決を目指す、STEAM教育の中でも重要な位置を占める教科
教育新聞:中学校で一番イノベーティブな教科? 技術科の魅力を深掘り
https://www.kyobun.co.jp/article/2023011103

技術科教員を目指すなら今です
多くの皆さんが技術科教員を目指してくれることを期待します。


村松浩幸(信州大)

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