中学校の技術室の整備指針について

 技術科では,多様な内容を指導する上で多くの施設や設備が必要になる。技術室等の施設について,面積基準はあるものの,部屋数等の明確な設置基準は未だ制定されておいない。しかし,文部科学省文教施設部より,「中学校施設整備指針」として,施設の機能の確保についての計画・設計上の留意事項は示されており,その中で技術教室についても提示されている(下記参照)。
 近年は校舎建て替え時に従来複数教室あった技術室が縮小される事例や,私立学校において技術室自体が設置されず,他教科の部屋と合同になっている事例も散見される。こうした指針を基に,適切な教室環境を確保していく必要があろう。


10 技術教室
(1) 「木材加工」,「金属加工」,「機械」,「電気」等の各領域について適切な
組合せにより空間を区分して計画することが望ましい。
(2) 小規模校等において1室として計画する場合は,十分な面積的余裕を確保しつ
つ,各種工作機械,工具等を利用するコーナーなどの空間を,十分な動作空間と
ともに,配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。
(3) 室内を作業空間と機械空間とに分け,作業空間は,個別学習と教師の机間巡視
に対応可能な机の配列とし,日常的に使う工具及び材料,完成品等の保管,収納
等のための家具等を設置することのできるよう面積,形状等を計画することが重
要である。
(4) 機械空間は,工作用の機械等を生徒が安全に利用できるような動作空間を計画
しつつ,危険防止の防護柵等で区分けした空間にまとめて設置することのできる
面積,形状等とすることが重要である。
(5) 教室から直接出入りすることができる,流し等の設備を設けた戸外の活動空間
を確保することが望ましい。
(6) 危険な材料,各種工具等を安全に保管し,また,製作途中の作品等を一時的に
保管することのできる空間を準備室内等に設けることが重要である。
※引用 文部科学省大臣官房文教施設企画部:第4章各室計画,中学校施設整備指針,p34(2009)


参考文献
・河野義顕:技術科の授業の現状,『技術科の授業を創る』,学文社,pp.9-10(2005)
・本多満正:第3章技術科の教育条件整備,技術科教育,一藝社,pp.52-59(2014)

「技術教室に整えるべき備品・教材と教材整備指針」については別記事を参照。


投稿者:村松浩幸(信州大)

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