ブラウザで設計し、レーザーカッターで形にする――「レーザーカットデザイナー」
レーザーカッターは、木材やアクリル板などを正確に切り出したり、文字や模様を彫刻したりできる工作機器です。しかし、作品づくりでは「どのような形にするか」を考えるだけでなく、加工用データを作り、材料の厚さや組み立て方を確かめ、試作を通して調整することが欠かせません。
「レーザーカットデザイナー」は、こうした設計の過程を生徒自身が取り組めるようにした、技術科のための教材用ツールです。レーザーカッターで加工するSVG形式のデータを、ブラウザ上で作成できます。インストールは不要で、単一のHTMLファイルとして動作するため、アプリの追加が難しいChromebookなどでも使いやすい構成です。
「レーザーカットデザイナー」: https://mihara-hiroyuki.github.io/laser-cut-designer/
ソースコード: https://github.com/MIHARA-Hiroyuki/laser-cut-designer
開発:三原博幸
マニュアル

図形を組み合わせ、設計図をつくる
四角形、円、直線、円弧、多角形、自由曲線、文字などの基本図形をキャンバス上に配置し、位置や大きさ、色、線の太さを調整できます。グリッドとスナップを使えば、図形をそろえながら設計することができます。完成したデザインはSVGファイルとして書き出し、レーザーカッターのソフトへ渡します。

文字の切り抜きには、文字の内部が落ちないよう橋を残した「ステンシル体」フォントを用意しています。生徒は作品名や表示のための文字を入れながら、形の美しさだけでなく、加工後にも文字として読める形を考えることができます。
サンプルデータ(SVG形式)
工作の仕組みを部品から学ぶ
部品ライブラリには、ねじ穴、指継ぎタブ、差し込みスリット、曲げヒンジ(ライブヒンジ)など、工作でよく使う形が用意されています。長さ、板厚、タブ数などを指定して形を自動生成できるため、複雑な図形を一から描く負担を抑えながら、接合の仕組みや構造の工夫に目を向けられます。

例えば、板厚に合わせて指継ぎタブとスリットを設計し、組み立て式の箱やスタンドをつくる活動では、「ぴったりはまる」ための寸法を考えることができます。実際の加工では、レーザーで切った分だけ寸法が変わることもあります。試しに加工し、ゆるさやきつさを確かめ、数値を調整してもう一度試す過程そのものが、技術分野における設計・製作・評価の学びになります。
加工の約束を意識する
レーザーカッターでは、線の色によって「切る」「彫る」などの加工内容を区別することがあります。レーザーカットデザイナーでは、一般的な例として赤をカット、青を彫刻に使う考え方を紹介しています。ただし、実際の色と加工内容の対応は、学校の機器や加工ソフトの設定によって異なります。必ず学校の運用に合わせ、端材などで試し加工をしてから本加工を行うことが大切です。
機器の操作、安全管理、材料の選択と固定、換気などは、学校で定めた手順と担当教員の指導の下で行います。設計データができたことを完成とせず、安全に加工し、作品を評価して次の設計へ生かすところまでを授業として位置付けることができます。
管理が厳しい端末にも配慮
作業中のデータは同じ端末・同じブラウザ内で自動保存されますが、提出や別端末での利用に備え、ファイルとして保存することが重要です。SVGの書き出しは、通常のダウンロードに加え、クリップボードへのコピーや新しいタブでの表示にも対応しています。ダウンロードが制限されている端末でも、学校の運用に応じた方法を選べます。
初めての授業では、キーホルダーや組み合わせツリー、簡単な箱など、教材に添付されたサンプルを開いて、色、寸法、穴の位置、文字を変えるところから始めるとよいでしょう。その後、自分の目的に合わせて形や構造を考え、試作・改善へと進めます。
利用について
本アプリ、使い方ガイド、サンプルデータは、クリエイティブ・コモンズ 表示-非営利 4.0 国際(CC BY-NC 4.0)ライセンスで提供されています。作者名と作品名を表示し、改変した場合はその内容を明記すれば、授業、部活動、個人利用等で利用・複製・改変・無償配布が可能です。営利目的での利用、販売・有償頒布はできません。
また、本ソフトウェアは無保証で提供されています。加工ミスによる材料の損失、データの消失などを含め、利用・改変・再配布に伴う損害について作者は責任を負いません。機器の安全な運用と、権利・ライセンスの確認の上でご利用ください。
投稿者:三原博幸(福岡)
投稿者プロフィール
最新の投稿
Gijyutu.com2026年10月9日ブラウザで設計し、レーザーカッターで形にする――「レーザーカットデザイナー」
Gijyutu.com2026年10月9日教材アイデアをWebアプリに――アプリを作るアプリ「アプリエ」
BLOG2026年10月1日学校の悩みや課題の解決と教育DXを実現する伴走型支援【教育ICTコンシェルジュ】
Gijyutu.com2026年9月30日体験しながら身に付ける「情報リテラシー学習ラボ」