2時間でできた「班対抗ストローブリッジコンテスト」
28年度に富士ゼロックスから直接ご教授いただいたストローブリッジコンテスト。実際は新入社員研修で3日かけて行うそうです。体験した私もこの教材に大変興味をもち、ぜひ中学校でやってみたいと、短時間かつ中学校バージョンに作り直し、温め続けていた授業でした。やっと実践ができたので報告します。
1.ストローブリッジの特徴(バルサ、パスタとの違い)
(1)材料が筒であるということ。つまり「薄い、軽いわりに丈夫」を体感できる。
(2)断面の精度に気づかせやすいこと。直径5mmの筒のため、断面の角度や切り方もよく見える。
(3)材料がプラスチックであること。細く切って、机の角などでしごきながら引っ張ると、摩擦熱で細く長く柔らかい紐ができる。つまり、プラスチックの特徴を生かして材料自体を加工できる。
(4)材料が安いこと。250本入りで108円(税込み)でした。できれば曲がらないストローの方が、丈夫でごみも少なく製作させることができる。
(5)片付けのとき、分別しなくてよいこと。「廃棄」に関する環境面にも触れられる。
2.1時間目(事前準備)
準備するもの:学習プリント(ルール説明用と製図用)、タブレット2台、試作用ストロー・スズランテープ・セロテープ(適量)
(1)指示を明確に
計画が大事なのはわかっているが、どんな計画だとうまくいくか具体的なものを子どもたちから出させるのは難しい。「この時間に何をどうしておけば次の時間20分で完成させられるのか」を必要に応じて助言する。今回はアイデアを出し合う時間(ラフスケッチ含む)、試作する時間、図面を作る時間、手順を考える時間と、4つの項目を立てて指示を出した。
(2)班に2台タブレットを準備
3~4人に1台あると、自ずとメモ役、タブレット操作役、調べ役などに分かれ、共同作業を行うようになる。一台で橋の形状を調べ、もう一台で紐の結び方を調べるといった分担作業をする班もあった。
(3)試作させる
試作用の材料をふんだんに準備する。試作しながら、「部品1個作るのに〇秒」「一か所結ぶのに△秒」など測らせることで、実際製作させる際の時間配分を予想させる。材料表通りに30本ストローを持っていって作ってみようとする班もあったので、「部品を試作すること」にしぼって説明を補足した。
3.2時間目(製作・実験・まとめ)
準備するもの:材料一式(写真参照)、学習プリント(記録・感想用紙)
(1)説明は省略する
説明等はあらかじめ板書しておくことで早く来た生徒が机上整理をしたりプリントを見直したりといった準備を始めるようになる。BGMをかけておくことでより緊張感も増す。これによりチャイムと同時に始めることができた。
(2)材料について
材料はすべて机上に準備しておく。今回は材料の無駄遣いをさせたくなかったため、セロテープを工具箱の長辺に合わせて貼っておいた。また、ストローは30本束にして、スズランテープでまとめておいた。
(3)道具について
はさみなどの道具は必要に応じて準備させる。カッターナイフについては個人で持ってこさせることが禁止されているため、各班一本のみ学校で準備した。
(4)時間配分について
製作時間は20分+5分で行った。邪道かもしれないが、最初から25分と言わずに、20分タイマーをかけ、いったん20分で作業を止める。もう一歩で完成という心底残念そうにしている班も、おまけの5分追加することで全部の班が完成させることができた。20分で完成していた班は、おまけの5分でごみになる端材を伸ばして紐をつくり強度を増したり、発表原稿と発表練習をしたりなど工夫していた。
(5)発表と実験について
「橋の名前、工夫点、おそらく破断しはじめるであろう場所」の3点を発表させ、橋の中心に通した板にフックをかけ、フックにつないだペットボトルに水を足しながら加重するという形式で行った。タブレットのカメラで、録画とスクリーン投影を同時に行い、全員に見えるように配慮し、また考察に活用できるようにした。
4.時間確保に向けて
もう一時間ゆとりを持つともっと丈夫な橋を作ることができる。ただこれ以上技術の時間を割くことは難しいため、「班活動」「学級活動」「思いやり」「チームワーク」「勤労」あたりのキーワードで、道徳や学活、総合的な学習の時間をもらう工夫をしたい。そうなると評価の観点も変わってくるためもう少し勉強が必要である。
投稿者:辻さやか(福岡)
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