産業技術遺産探訪 2011.8.24.

札幌農学校第2農場

Sapporo Agricultural College Model Dairy Farm
Important Cultural Property

国重要文化財

北海道札幌市北区北十八条西8丁目

農場事務所
Farm Office
1910(明治43)年竣工
牧牛舎(牝牛舎)
Milking-cow Barn
1909(明治42)年竣工
種牛舎
Bull Barn
1879(明治12)年竣工
模範家畜房(産室追込所及耕馬舎)
Model Dairy Barn
1877(明治10)年竣工
脱ぷ室・収穫室
Threshing,Hulling & Cleaning Room
1911(明治44)年竣工
穀物庫
Corn Barn
1877(明治10)年竣工
秤量場
Cart-scaling Place
1911(明治44)年竣工
釜場
Food-processing Plant
1911(明治44)年竣工
精(製)乳所
Milk Processing Plant
1911(明治44)年竣工

              

 重要文化財「札幌農学校第2農場」のあらまし

 当農場は、札幌農学校教頭W.S.クラーク先生の大農経営構想に基づいて明治9(1876)年9月13日に農黌園(College Farm)として開設されました。クラーク先生の後を受継いだW.P.ブルックス先生は、現ポプラ並木一帯を教育研究用の第1農場、当農場を一戸の酪農家をイメージした模範農場として第2農場として区分しました。当時の日本は、乳牛などを飼育する畜産経営がなかったため、米欧の技術が北海道に適するかを調べることと、模範的な経営を行って北海道に入植してきた人達に普及する必要があったのです。

 農場を代表する模範家畜房穀物庫は、明治10(1877)年秋に落成して日本最古の洋式農業建築であるばかりか、ツーバイフォー方式バルーンフレーム構造の希有な構造物として建築学的にも貴重なものです。明治22(1889)年に初めて導入された乳牛のホルスタイン種は、今日まで100余年も血統が維持されて雌雄毎に1050産を超えましたが、その中の優良種は北海道の基礎牛となって酪農の発展に貢献しました。また、収蔵する農機具類は、北海道開拓当初からの標本を揃え、洋式農法の受容経過を知る上で貴重な資料です。これら洋式農業建築や北海道畜産の発祥地としての歴史的・学問的価値によって昭和44(1969)年に文化財保護法により重要文化財に指定されました。

 当第2農場の施設は、農学校校舎が現札幌時計台(演武場)一帯にあった間、現在の大学正門から大型計算機センタ一帯にありましたが、総合大学として発展するために土地を明け渡し、明治42-44(1909-11)年に現在地に移転しました。さらに大学の拡大と都市化の影響によって縮小を余儀なくされ、ここでの畜産研究は、昭和42(1967)年に隣接地に移転して終了しました。その後重要文化財として閉鎖管理してきましたが、平成12年1月の大学評議会は、施設の文化的価値を広く世間に伝えるため、年次計画によって整備することを決定し、一般公開への道を開きました。

現存する旧 札幌農学校の歴史的建造物
・旧札幌農学校図書館読書室・書庫 1902(明治35)年竣工 国登録有形文化財
・旧昆虫学及養蚕学教室 1901(明治34)年竣工 国登録有形文化財
・守衛所(旧札幌農学校門衛所) 1904(明治37)年
・北海道大学南門(旧札幌農学校正門)  1904(明治37)年
・札幌市時計台(旧札幌農学校演武場) 1878(明治11)年竣工
・旧札幌農学校寄宿舎

北海道大学札幌キャンパス 学内施設配置図(PDF 1.5MB)
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/map/guidemap.pdf

北海道大学建築遺産トレイル


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