産業技術遺産探訪 2002.11.23/2003.8.22./2005.8.14.   

ブラフ溝
Bluff Gutter

神奈川県横浜市中区元町 元町公園内

 横浜山手は、山手本通りとワシン坂通りの尾根道を中心に展開し、居留外国人たちから「ブラフ」(切りたった崖を意味します)と呼ばれていました。この丘陵地の地形によって横浜山手にはいくつもの谷戸が存在しています。元町公園一帯もそういった谷戸のひとつで、かつてはフランス人ジェラールが西洋瓦を焼き、湧水を集めて船舶給水を行っていました
 この石造側溝は、ジェラールの要望によって、1874(明治7)年から1875(明治8)年にかけて敷設された排水溝です。房州石を船底型に組み合わせ、雨水が谷戸に流れこまないようにしたもので、洋風側溝としては現存最古のもののひとつです。同じ房州石で築かれた「ブラフ積石垣」とともに、居留地時代の横浜山手をしのぶことのできる貴重な土木遺産といえます。


 横浜開港資料館の屋外に展示されている
ブラフ溝

獅子頭共用栓とブラフ溝
JAPAN'S FIRST STREET-FOUNTAIN and BLUFF GUTTER

神奈川県横浜市中区日本大通3 横浜開港資料館

 この獅子頭共用栓は、日本最初の近代水道となった横浜水道(明治18〜20年)創設時に横浜市内各所に配置されていたものです。当時、家屋内に蛇口を引く例は少なく、路頭の共用栓から水の供給を受けるのが一般的で、創設期には600基がイギリス・グレンフィールド社から輸入されました。
 また、水受石は、山手の坂道など居留地時代の道路側溝(「ブラフ溝」)に使用されていた石材を再利用して転用したものです。


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