産業技術遺産探訪 2000.4.16.

旧 前橋電燈会社・植野発電所 取水口跡

1894(明治27)年竣工
群馬県で最初の水力発電所、日本で5番目の水力発電会社

群馬県前橋市総社町植野344番地(立石橋下流)

 このレンガ積みは、1894(明治27)年5月に完成した群馬県で最初(日本で5番目の水力発電による電気事業者)の水力発電所である「前橋電燈(株)・植野発電所(総社発電所)」の取水口跡です。

 「植野発電所(総社発電所)」は、「旧・前橋電燈株式会社」(社長・勝山善次郎、資本金3万円)によって、「天狗岩用水」に架かる「立石橋」下流の総社町植野344番地(福島勝之進の所有地)に建設されました。天狗岩用水をせきとめ、水力発電によって50キロワットの電気を起し、前橋市内に電灯用の電力を送電していました。 「植野発電所(総社発電所)」は、1914(大正3)年に廃止され、現在は当時の取水口跡を残すのみです。


「立石橋」と「天狗岩用水」


日本で5番目の水力発電による一般供給用の電気事業者「前橋電燈(株)・植野発電所(総社発電所)」

1.蹴上発電所(京都市) 1891(明治24)年11月運転開始、1892(明治25)年送電開始(世界初)
2.箱根電燈所  1892(明治25)年
3.日光電力    1893(明治26)年10月送電開始
4.豊橋電燈(株) 1893(明治26)年3月設立、1894(明治27)年4月送電開始
5.前橋電燈(株)・植野発電所 1894(明治27)年5月送電開始
6.桐生電燈合資会社 1894(明治27)年5月21日 群馬県で2番目の電気事業会社

なお、日本で最初の水力発電(工場の電灯用として自家発電を行った発電所)は、1888(明治21)年7月1日に「宮城紡績会社」が紡績機用の水車を利用して行った水力発電です。


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