産業技術遺産探訪 2006.6.17.
横浜水道
三井用水取水所沈澄池
1887(明治20)年竣工
近代水道百選
本邦水道創設之處
神奈川県相模原市津久井町三井
(旧 津久井郡津久井町三井)
三井用水取入所は、相模川と道志川の合流地点につくられた横浜水道で最初の取水施設(旧
津久井郡三井村)で、蒸気機関で駆動する揚水ポンプを使って川から水を汲み上げました。
ここで汲みあげられた水は、山をこえ谷をわたりはるばる43キロメートル離れた野毛山の浄水場まで鉄管やトンネルによって運ばれました。
この鉄管は、イギリスから輸入された直径18インチ(46センチメートル)と直径15インチ半(39センチメートル)のものでした。
その後、1897(明治30)年に水の取入所を道志川に移した(青山取水口、のち鮑子取水堰)ため廃止されました。
三井用水取水所沈澄池
1887(明治20)年竣工 煉瓦造
近代水道百選
日本初の近代水道である横浜水道創設時の現存する施設で唯一のもの
三井(みい)用水取水所沈澄池跡 | |
三井用水取入口跡 明治20年に完成したわが国で初の近代水道である横浜水道創設時の取入口。道志川と相模川の合流する地点に2個の突堤で小湾口を設け、1日最大5720m3の水を鉄管2条で抽水井に導き、そこからポンプで沈澄池に揚水していた。沈澄池からは、ずい道と導水管により自然流下で、約44km離れた横浜市内の野毛山浄水場まで送水していたもので、明治30年には道志川の青山に移されたことにより廃止された。また、この取水施設は、昭和60年5月 日本の近代水道発祥の史跡として水道100選に選定された。 昭和62年5月 横浜市水道局 |
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三井用水取水所 ジオラマ(横浜水道記念館) |
旧 三井用水取水所跡は現在は1965(昭和40)年に完成した津久井湖の湖底に沈んでいます。
「本邦水道創設之處」碑
本邦 水道 創設 之處 青木周三 書 横濱市 |
横濱市水道ハ英國人技師故ハーマー氏ニ委嘱シ水源ヲ北ノ地ニ索ノ明治拾八年四月起工シ同貳拾年九月竣成セルモノニシテ是レ實ニ本邦ニ於ケル新式水道ノ濫觴ナリ茲ニ其ノ五拾周年ノ記念ニ方リ之ヲ建ツ 昭和十二年十月 横濱市長 従四位勲二等 青木周三 |
近代水道百選
1987(昭和62)年は、1887(明治20)年に横浜市に日本で初めての近代水道が誕生してからちょうど100周年になります。そこで、厚生省(現在の厚生労働省)の企画により、この100年間に建設された全国の水道施設の中から、近代水道史的に、水道技術史的に、環境景観的にみて価値あるものを検討して、1985(昭和60)年5月に「近代水道百選」が選定されました。
横浜市からは、「水道創設記念噴水塔」、「旧 三井用水取入口」、「旧 青山取入口と沈殿池」、「城山隧道」の4箇所が選ばれました。
近代水道百選委員会 委員長 小林 重一
企画 厚生省水道環境部 主催 日本水道新聞社 後援 (社)日本水道協会
産業技術遺産探訪〜横浜水道