産業技術遺産探訪 2005.5.4.

富岩運河 牛島閘門

Ushijima Lock

1934(昭和9)年竣工

国登録有形文化財
2002(平成14)年指定

富山県富山港管理事務所

富山県富山市木場町16-1

 牛島閘門(うしじまこうもん)は、1934(昭和9)年に「富岩運河(ふがんうんが)」と「いたち川」の間に建設されたもので、川船が運航できるように約60cmの水面の高低差を、門扉の水中部に取付けられている通水扉を開閉して調節しています。
 閘門は大きく閘室と門扉で構成され、閘室の主部分は鉄筋コンクリート造で、門扉を支える部分は、耐久性と水密性を考慮して石組み構造となっています。
 門扉は現存していなかったため、昭和初期の写真をもとに建設当時と同じ木製の門扉に復元されました。

牛島閘門の沿革
1930(昭和5)年 富山県施工の富岩運河建設事業着手
1934(昭和9)年 富岩運河(延長約5.1km)、中島閘門、牛島閘門竣工
1989(平成元)年 富岩運河環境整備事業に着手
2001(平成13)年 富岩運河環境整備事業の一環として、牛島閘門を復元
2002(平成14)年 国登録有形文化財に指定される。


牛島閘門 上流側門扉

形式:木製マイタゲート
純径間:4.500m
扉高:2.240m
設置数 1門
主要部の材質 米桧
設置年月 平成13年3月
富山県
製作会社 佐藤鉄工株式会社


牛島閘門 閘室


底面には、割石を千鳥に配置し、閘室内に入った船が
竿で移動できるように、引っかかりとして使います。


牛島閘門 下流側門扉

形式:木製マイタゲート
純径間:4.500m
扉高:2.840m
設置数 1門
主要部の材質 米桧
設置年月 平成13年3月
富山県
製作会社 佐藤鉄工株式会社


登録有形文化財
第16-0067号
この建造物は貴重な国民的財産です
文化庁


富山県富山港事務所が2002(平成14)年に設置した解説



「運河のまちを愛する会」

 昭和10年に完成した富岩運河は、利用が減少するに伴い、一旦は埋立計画により姿を消すことになっていましたが、昭和59年に都市の貴重な水辺空間として保存・整備していくよう方針転換し、運河緑地、富岩運河環水公園として整備を進めています。
 また平成9年7月には富岩運河環水公園が一部開園し、平成10年5月には、保存・復元工事が行われた中島閘門が、昭和の土木構造物としては初めて国の重要文化財の指定を受けました。
 このように、富岩運河(岩瀬運河、住友運河を含む。)は、歴史的、文化的遺産の軸となっていますが、富山市民そして県民の中にも、この運河について「知らない」という方がいるのも事実です。
 こうしたことから、この「運河のまちを愛する会」は、
(1)富岩運河について知る機会、学ぶ機会を創出
(2)運河を活用し、運河やその周辺ににぎわいを創出
(3)運河についての積極的な情報発信
(4)運河の環境改善、整備等に関する検討
などを実施することにより、運河を軸としたまちづくりを進めることを目標としています。


富岩運河環水公園


JR北陸本線 富山駅下車 徒歩12分


富岩閘門 中島閘門


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