産業技術遺産探訪 2001.4.15

上信電氣鐵道デキI型電気機関車
製造年月日:1924(大正13)年8月20日
シーメンス・シュッケルト社(ドイツ)製造
<車体:マン社(ドイツ)製造>

車両内部一般初公開!

 2001(平成13)年4月15日に、群馬県富岡市もみじ平総合公園いこいの広場に保存展示中の上信電鉄・デキI型電気機関車の車両内部が初めて一般公開されました。製造から77年(喜寿)を記念して開催されたこの催しは、「デキを愛する会(大日方康博・会長)」が主催したもので、後援は「上信電鉄」「群馬県富岡行政事務所」「上信電鉄沿線市町村連絡協議会」によるものです。
 上信電鉄技術課長・笠原道也さんをはじめとして、上信電鉄の検修担当の方々が電気機関車の車両内部にある機器について具体的に解説して下さいました。
 また、上信電鉄デキI型機関車の輸入当時の姿を忠実に再現した5インチゲージ(縮尺 約1/8)の模型も紹介(写真上参照)されました。この非常に精巧な模型(学術模型に匹敵するもので、走行も可能)は、群馬県藤岡市在住の中村泰三さんが製作したものです。中村さんは、元・中学校技術科の先生です。かつて、上毛新聞でもライブスチームや信越線碓氷峠のアプト式電気機関車の模型製作などで紹介されたことがあり、さっそく会場で取材を申し込みました。今から楽しみです。レポートはWebページにまとめ報告する予定です。お楽しみに!

車両内部の一般公開に関する新聞報道
上毛新聞 2001年4月6日
朝日新聞 2001年4月13日・4月14日

上信電鉄技術課長・笠原道也さんと上信電鉄・検修担当の方々

コンプレッサー(空気圧縮機)・・・・空気ブレーキ用の圧縮空気をつくる。
コンプレッサーは後に交換されたもので三菱製
コンプレッサーの空気圧自動調整装置

元空気溜めタンク(全部で3つあります)

ヒューズ箱とその内部に格納されているヒューズ

接地箱

車両の前後両端部分には死重の鉄塊が搭載されています。

運転室内部
カノピースイッチは750Vを直接ON/OFFしています。びっくり!
現在では考えられない高電圧をスイッチで直接操作していたわけです。
ON/OFFするたびに火花が発生したことと思います。
現在の電気機関車では、発電機が搭載されており、100Vまたは200Vで
機器を動作させています。
パンタグラフもロープで
直接上げ下げです。
主幹制御器など、どちらかというと電気機関車というより電車に近いものです。

デキI型電気機関車の電気回路図です。

抵抗器 補助回路用抵抗器 主回路用抵抗器
電動機用です。
継電器(リレー)・・・・スイッチのON/OFFで火花が発生するため、機器扉の内側には石綿(アスベスト)が張ってありました。

 台車内の電動機部分を上から見たところです。電動機への高圧線が配線されていることがわかります。電動機は全部で4つあり(動輪1組に1つ)、故障等で動かなくなったときには、1つ1つ回路から切り離しをすることができるようになっています。(現在の一般的な電気機関車や電車では、主電動機は2つ1組で回路から遮断されるようになっています。)また、電動機の冷却用強制送風機(ブロアー)は無く、走行時の風による自然空冷方式です。

台車の主軸部分(軸箱)です。

一般公開当日、解説のために配布された図面や資料

YouTube→上信電鉄「電気機関車 デキ1」 乗車体験、「電気機関車 デキ3」による電車牽引、「電気機関車 デキ2」 静態保存、
軌道モーターカー(20t車) GT200-1A 2016年 撮影


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