技術のわくわく探検記・産業技術遺産探訪 2004.8.11.   

ANA 全日空
整備本部
機体メンテナンスセンター

ダグラス DC−3型 コックピット
R1830 エンジン Twin Wasp(1200HP)
プラット&ホイットニー(Pratt & Whitney)社製

東京都大田区羽田空港3丁目5-4 ANA機体メンテナンスセンター



ANAAll Nippon Airways) 全日本空輸(株)
整備本部 機体メンテナンスセンター


機体工場見学入館証


ダグラス DC−3型 コックピット と R1830 エンジン

ダグラス DC−3型 コックピット と R1830 エンジン
1935(昭和10)年に初飛行したDC−3型機は、世界中で約1万1000機生産されたダグラス社の傑作機です。全日本空輸(株)の前身である「日本ヘリコプター輸送」が1955(昭和30)年11月、東京−名古屋−大阪線、東京−三沢−札幌線に就航させ、1957年に「日本ヘリコプター輸送」が「極東航空」と合併して「全日本空輸」が発足した時には9機を保有しており、創業期の主力機として活躍しました。
DC−3型機は、それまで最大であったデハビランド・ヘロン114型機(定員14名)の2倍以上の座席数(定員31名)を有し、この新鋭機の導入により昭和30年度の輸送力は飛躍的に伸張し、対前年度比で旅客168%、貨物245%、郵便210%を記録しました。
また、DC−3型機の導入に合わせて、乗客へのサービス向上、運航乗務員と客室間の情報交換、保安などの必要性が増したことから、創立以来初めての客室乗務員が採用されました。


ダグラス DC−3型 コックピット


ダグラス DC−3型 コックピットのメンテナンスも行う整備士

ダグラスDC−3型機のコックピット
機体データ
1935(昭和10)年、米国ダグラス航空機会社で、約1万1000機製造された世界の傑作機。
全幅 29.0m
全長 19.7m
全高  5.0m
自重 7330kg
巡航速度 270km/h
搭載エンジン プラット&ホイットニー(Pratt & Whitney)社製 R1830 Twin Wasp(1200HP)×2基
乗務員数 3人(操縦士2 スチュワーデス1)
客席数 31席
この展示品は、全日本空輸(株)が昭和30年〜昭和41年に使用していた航空機と同型機のコックピット部分を、米国アリゾナ州ツーソンのデービスマウンテン空港より持ち帰り、修復したものです。
ANA 全日本空輸(株)
協力会社
全日空商事株式会社
日本貨物航空株式会社
米国全日空商事株式会社
全日空整備株式会社


R1830 Twin Wasp エンジン

Pratt & Whitney社製2列14気筒星型エンジン

R1830 Twin Wasp エンジン
このエンジンは、Pratt & Whitney社製2列14気筒星型エンジンで、ダグラスDC−3型のエンジンとして使用されました。
この展示品は、全日本空輸(株)の創立50周年に際し、Pratt & Whitney社より友好の証として、2002年12月に寄贈されたものです。
データ
最大出力 1350馬力
排気量 1830立方インチ(約30000cc)
回転数 2400〜2700RPM
初運転 1931年
総生産台数 173618台


Pratt & Whitney社製造


創業期に活躍したANAフリート「DC−3とコンベア」

1955年、機材の大型化を計るべく31人乗り「ダグラスDC−3型機」が導入された。初登場から20年が経過した尾輪式の旧式機ではあったが、頑丈な機体と性能には定評があり路線拡大の原動力になった。1957年、「日本ヘリコプター輸送」と「極東航空」が合併して「全日本空輸」が発足。最大時には13機を数えた「DC−3」は、全日本空輸発足時の主力機種となった。
スチュワーデスが乗務するようになったのも、このDC−3からである。第1期生6人の採用には1000人以上が応募し、大きな話題となった。
ANAの運航規定では「DC−3」の飛行高度は11000フィート(約3300m)以下に制限されており、富士山を背景に撮影された「DC−3」は山頂より低い高度を飛んでいる。これは「DC−3」のキャビンが非与圧式だったためで、気流の悪い低空を飛ぶ時などは苦労も多かった。旧式機「DC−3」に代わる新型機として「コンベア440メトロポリタン」が1959(昭和34)年に導入された。この与圧式の新型機は、1959(昭和34)年の伊勢湾台風によって大きな被害が出た中京地区へ救援物資を搭載して緊急輸送を実施、陸路が寸断され陸の孤島と化した被災地への物資輸送に活躍したエピソードをもっている。
「コンベア340」からの改造機を含め計4機が活躍した「コンベア440メトロポリタン」はANAが導入した最後のレシプロエンジン機であった。



ANA機体工場の格納庫は羽田空港3000m新A滑走路に隣接

格納庫の扉は18枚 扉の敷居までがANAの敷地
奥行き 約100m、高さ 約42m、幅 約220m
格納庫の屋根 1万2000トン を5本の柱で支えている。


ジャンボジェット機でも5機が同時に格納できる整備場です。


年間約1000機の整備を行っています。


尾翼補助エンジン
羽田、大阪、沖縄空港などでは使用できない
環境対策
駐機中の電源は、地上から電源を供給

B747垂直尾翼先端までの高さ19.4m

高度1万メートルを高速で飛行すると静電気で機体がラッピングされ地上との無線交信に支障が出るため、放電子約60本で放電している。


水平尾翼
可動式になっている
重心の移動を補正するようになっている。


主翼のスポイラー(ブレーキの役目)


さまざまなメンテナンス用具が並んでいます。



貨物機
かつて旅客機であった機体を改造したもの
コンテナが搭載できるような床の構造になっている
防音壁などが取り外されている
窓もない


圧力隔壁 補修のあとがたくさんありました。


ジェットエンジン

 ジェットエンジンに付着したほこりを放置しておくと燃焼効率が悪化することから、全日空では、ジェットエンジンの水洗いを実施することにより、年間3300キロリットルの燃料を節約することができるということです。また、空港へ着陸後に駐機場まで移動する際に、ジェット機に複数搭載されているジェットエンジンの一部を停止させて操縦する方法を推進しているということです。全日空が所有する航空機の半数がこのような操縦を行った場合、年間1800キロリットルの燃料が節約できるということです。

 なおJAL(日本航空)では、機体の表面に塗料で塗装していない貨物専用ジャンボジェットを2004年度中に2機購入する予定だということです。機体への塗装を省略する(もちろん国籍や民間航空機であることを識別できるような航空機会社のロゴなどは機体に表示されます)ことによって、機体が約150kg軽量化でき、1機あたり年間40000リットル(200万円に相当)の燃料を節約することが可能であるということです。(機体を塗装するための塗料は約1トン使われますが、乾燥後には約1/4の重量になります。)



脚が取り外され、ジャッキで機体が持ち上げられている。

タイヤの溝は縦の溝のみ
車輪に駆動力は求められていない。
推進力はジェットエンジンによる。
ノーズギアにはブレーキさえない。
3000回(約1ヶ月半)の着陸でタイヤの溝が摩耗するのでタイヤのゴムを交換
ミシュラン、ブリジストン社製
タイヤのゴム交換は約10万円
新品のタイヤ(アルミホイールを含む)は約60万円



整備士個人持ちの工具箱には、整備士の名前が明示されており、すべて施錠してあります。
整備した機体内部などに置き忘れがないように、工具類の管理は厳重に行われています。


B747−400
国内線 乗客569席 主翼内に燃料を搭載
国際線 乗客337席 ジェット燃料搭載のため 主翼と水平尾翼内に燃料を搭載
    ドラム缶(直径60cm、高さ90cm、容量200リットル)約1077本、    160トン
    ドラム缶を積み重ねると、高さは東京タワーの2.8倍に相当する。
    ジェット燃料の成分は灯油に近い。
現在、全日空で最長路線の国際線は成田〜ニューヨーク 11000km(地球1/4周)13〜14時間(冬季には偏西風の影響でニューヨーク〜成田は15時間かかることもある)

機体約180トン+燃料約160トン+貨物(貨物室)約50トン+乗員乗客約25トン(1人あたり77kgで計算)=最大離陸重量395トン
ジェットエンジン(4基の合計)の推力は105トン(1基あたりの離陸推力は26トン)
翼による揚力があるため、約1/4の推力で離陸できる。

揚力が発生するメカニズム
実験

B747−400
主翼先端部にウイングレッドがあるものが国際線用

主翼先端部に空気の渦が発生するのを抑えるはたらきがある。
ドラム缶約25本分の燃料の節約になる。
国内線用の機体にはウイングレッドがないのは、短距離飛行ではそれほど効果の差がでないため。


B777(トリプルセブン)製造工程のビデオを視聴!

米国シアトル市にある機体製造工場
通常、全工程に5ヶ月かかるが、それを5分にまとめてある。
全日空には、現在23機保有している。
B777−300
B777−400
大型ジェットエンジン2基
(20年に1回故障するくらい信頼性が高いエンジン)
胴体前部は川崎重工製、胴体中央部は富士重工製、胴体後部は三菱重工製
部品の21%が日本製
設計図はコンピュータネットワークで世界各国の工場とオンラインで結ばれている。
アルミ合金製の機体(超高力アルミ合金)
主翼
燃料タンク
コックピット
機体のラップジョイント
床の部分
治具で機体全体を回転させながら製造していく
非常口は全乗客が90秒以内で脱出できる位置と数
富士重工から届いた機体が組み込まれる
昇降舵
パイロン
プラット&ホイットニー社のジェットエンジン
推力34トン
機体塗装用の塗料は約1トン、乾燥すると1/4の重量になる。



全日空の以前のロゴマークは、
レオナルド・ダ・ヴィンチが考案したヘリコプターを
図案化したものです。

ANA 全日空 「きたえた翼は、強い。」


東京モノレール「新整備場」駅下車

JALメインテナンスセンター


翼による揚力の発生については、下記のWebページに詳細な解説があります。
    「なぜ飛行機は飛ぶのか(How does an airplane fly?) http://www002.upp.so-net.ne.jp/a-cubed/lift/index.html
    飛行の理論〜翼による揚力の発生について(第2版)


技術のわくわく探検記  産業技術遺産探訪  技術科@スクール