技術のわくわく探検記 2003.7.30.

種差海岸で砂鉄採集
青森県八戸市種差(たねさし)・種差漁港

 久慈・八戸地方の砂鉄と、この砂鉄を原料とした製鉄は、出雲・伯耆を中心とする中国山地や山陰地方の砂鉄を原料とした「たたら製鉄」と並んで、古くから良質で豊富な砂鉄の産地としての歴史があります。

 久慈・八戸地方の砂鉄や砂鉄による製鉄の歴史は、「砂鉄史資料・たたら館」(岩手県久慈市大川目町8−4)などで知ることができます。

 「国際ジュニアロボットコンテストin八戸」(2003年7月27日〜8月3日)の4日目、キャンプのために午後から訪れた「青森県立種差少年自然の家」は「種差海岸」の近くにありました。夕食までの自由時間に種差海岸まで降りて、「種差漁港」の近くで、砂鉄を含んでいると思われる黒っぽい砂を採集してきました。海岸までの往復は、起伏に富んだちょっとした山道で、重たい砂鉄を持った帰り道は、けっこうな運動量で、汗びっしょりになってしまいました・・・・おまけに途中で1回スライディングもしました・・・・(^^;)


砂鉄を採集した場所は、中央に見える「種差漁港」のすぐ右側で、
少し黒っぽい岩場があるところです。
(「青森県立種差少年自然の家」に掲示されていた航空写真より)


八戸から送った宅急便が届きました。
(翌日に配達されるというのはすごいですね!)


海岸で採集したので、プラスチックのバケツに入れて水で塩分を取り除きます。


磁石を入れてみると・・・・わっ、こんなに砂鉄が含まれています!!
海岸の黒っぽい砂を、そのまま採集しただけで、まだ磁気選鉱していません。
砂鉄の含有量がほんとうに多いのに驚きました。

近日中に、磁気選鉱してみます。どれだけ砂鉄が含まれているか楽しみです(^^)
結果は、このWebページで報告しますね・・・


 青森県八戸周辺で産出される砂鉄は、硫黄の含有量が少なく、チタンを多く含む特徴があります。

 良質で豊富な砂鉄の産地である青森県八戸市周辺には、最近まで砂鉄を原料とした精錬(製鉄)を行う工場がありました。
 1951(昭和26)年には、「日本高周波鋼業株式会社八戸工場」が設立し、淋代海岸(青森県三沢市)で産出される砂鉄を原料にした砂鉄銑(銑鉄)を生産し、この砂鉄銑から純鉄や特殊鋼の鋼塊を製造していました。(日本高周波鋼業株式会社八戸工場は、1981年に「高周波鋳造株式会社」となり、球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造会社となっています。)
 この他にも、砂鉄を原料とする精錬(製鉄)を行う工場として、「日本砂鉄鋼業八戸工場」や、「東北砂鉄鋼業」(青森県上北郡天間林村)、「日曹砂鉄」(青森県三沢市)などがありました。また、1963(昭和38)年には、「むつ製鉄株式会社」、「砂鉄原料株式会社」が設立され、青森県上北郡天間林村で産出される山砂鉄を原料とした鉄の精錬計画がありましたが、1965(昭和40)年に計画は中止されています。(富士重工製のレールバス「キハ102」で有名な「南部縦貫鉄道」(現在休止中)は、この計画のための砂鉄運搬用に建設された路線でした。)
 


種差海岸
国指定文化財・名勝「種差海岸」(昭和12年12月21日指定)

 ウミネコの飛び交う蕪島(かぶしま)から大久喜までの海岸一帯は、豊かな自然の景色が広がる名勝「種差海岸」が約12kmにわたって続きます。奇岩怪岩が形作る荒々しい岬や島、その間に広がるなだらかな砂浜が変化に富む海岸線をつくり、ゆるやかな丘陵に広がる天然の芝生や砂浜に生い茂る松、ウミネコが豊かな景観に彩りを添えて、果てしない太平洋と壮大な自然を展開しています。また、この海岸一帯は、貴重な草花の宝庫になっており、草原に咲くニッコウキスゲやノハナショウブ、崖に咲くスカシユリやハマギク、砂浜に咲くハマヒルガオなど貴重な草花が多く、四季折々の色彩を織りなしています。ハマギクはここが分布の北限となっています。


天然の芝生です!


岩場と砂浜が交互に続いています。


ウミネコ


天然の芝生の向こうに
砂鉄を採種した「種差漁港」が見えます。


白浜
(青森県八戸市)


約12kmにわたって続く種差海岸の北側には白浜(白浜海水浴場)があります。
砂鉄を多く含む黒っぽい種差海岸の南側(種差の砂浜)に対して、
こちらは白い砂浜が約2kmにわたって広がっています。


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