技術のわくわく探検記〜産業技術遺産探訪 2003.8.27.

旧 大井川電力軌道
(大井川電力株式会社)
市代吊橋
サスペンショントラス構造
鉄道用吊橋
径間 106.74m
幅員 2.12m(外幅3.7m)
1936(昭和11)年竣工
製造:三菱重工業神戸造船所

静岡県榛原郡本川根町

産業考古学会推薦産業遺産
2000(平成12)年認定

 「市代(いちしろ)吊橋」は、1936(昭和11)年に大井川電力(株)大井川ダムの建設に伴い、木材の流送を補償するため、鉄道用吊橋として建設されました。大井川ダムの建設中は、ダムの建設資材を輸送するために大井川電力軌道(のちに大井川専用鉄道となる)の鉄道橋として市代吊橋は使われていました。ダムの竣工後には、それまで大井川を流送されていた木材を、この鉄道を使って輸送するために、それまでの軌間762mmから、大井川鉄道乗り入れのために軌間1067mmに変更されました。
 1954(昭和29)年には、鉄道を井川まで延長する際に鉄道ルートが変更となり、市代吊橋は道路橋となりました。


三菱重工業株式會社
神戸造船所製作
昭和十一年

中部電力株式会社 大井川電力センター
産業遺産「市代吊橋」
 「市代吊橋」は、昭和11年大井川電力(株)大井川ダムの建設に伴い、木材の流送を補償するため、
鉄道用吊橋として建設された。
 昭和29年鉄道を井川まで延長する際ルートが変更となり、市代吊橋は道路橋となった。それ以前、
昭和8年寸又峡に飛龍橋・昭和10年土本に三叉橋が鉄道用吊橋として建設されたが、これらは戦後
永久橋に改築されたため、残っているのは市代吊橋だけである。
 若干の改造は行われているが、鉄道用吊橋の構造をよく残し、橋梁の歴史を語る貴重な吊橋である。

   認定者 産業考古学会   認定年月日 平成12年5月20日

吊橋仕様  製造者 三菱重工業(株)  製造年 昭和11年
        型式 サスペンショントラス  径間 106.74m  幅員 2.12m
        制限重量 8トン


現在、この市代吊橋の制限重量は8トンですが、
かつては、この橋梁上を重量8トンのガソリン機関車が牽引する
積載量5トンの貨車13両(総重量70トン)が運転されていました。



現在の「市代吊橋」は、
大井川鉄道井川線「アプトいちしろ駅」と「中部電力奥泉発電所」を結ぶ道路橋となっています。
手前の踏切は大井川鉄道井川線で、市代吊橋の向こうに発電所があります。
「中部電力奥泉発電所」は1956(昭和31)年竣工


下の写真中央、赤い屋根の大きな建物が大井川鉄道のアプト式電気機関車車庫
大井川に架かっているのが「市代吊橋」
その間にあるのが大井川鉄道井川線「アプトいちしろ駅」
手前は「中部電力奥泉発電所」で、水力発電所の水圧鉄管が見えます。


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