技術のわくわく探検記 2002.10.14.

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第4回たたらサミット
たたら研修会

(岡山県新見市) 

 第4回たたらサミットは2002年10月12日(土)〜10月14日(月)に岡山県新見市で開催されました。サミット最終日の「たたら研修会」(指導:東京工業大学工学部金属工学科・永田和宏教授)に参加し、たたら製鉄を体験してきました!



たたら操業会場は、高梁川とJR伯備線に隣接した「新見レミコン旧金谷工場跡地」


D班で操業の研修を行いました。
各班に東京工業大学の学生さんがアシスタントとしてつきました。

「たたら炉」をつくろう
材料
炉体:耐火レンガ(100枚)、耐火モルタル(5kg)、耐火粘土<プラスチックレンガ>(入手できないときは耐火モルタルまたは赤土)
シャフト部:亜鉛平トタン(90cm×180cm・・・規格品914mm×1829mm)、針金(0.5mm径 10m程度)
下敷き:亜鉛平トタン(90cm×180cm・・・規格品914mm×1829mm)
断熱材:建材用ブロック(8個)
羽口:水道管(直径1インチ 長さ約40cm 2本)
観察用窓:水道寛容塩ビT字型継手、ガラス、緑色セロファン
送風機:ブローワー(風量が調節できる機能があると便利)
その他:布ガムテープ、ビニールチューブ(ブローワーと羽口をつなぐ)
道具類
突き堅め棒(燃焼した木炭を潰す)、木づち(レンガ積みを成形する)、金切りばさみ(シャフト部分のトタンを切る)、コテ(モルタルを塗る)、洗面器(モルタルを練る)、バケツ(大1個、水を入れておく)


たたら製鉄で玉鋼をつくろう
材料
砂鉄:20kg(川や海で採った砂鉄は水で良く洗った後、乾燥させてから磁石を使って選別します。
     珪砂成分は5%程度にすると良い。
木炭:松炭50kg(雑炭でも可)
その他:イネ科の雑草(たたら炉のシャフトを撤去したのちに、炉頂部分にかぶせる「火伏せ」に使う。)
道具類
ナタ(鉈)両刃4丁(炭切り用)
炭切り台用の角材(適当な大きさならどんなものでも良い)
計量はかり(20kgまではかれる量れるもの)
箕(み)炭を炉に投入するときに使う。
十能
炭をすくうときに使う。
ちりとり金属製のもので、砂鉄を炉に投入するときに使う。
鉄パイプ炉内の炭をならすために使う。直径1cmで長さ1mくらいのもの。
鉄棒炉内からケラを取り出すときに使う。直径1cmくらいのもの。
金だらい取り出したケラを水冷するときに使う。十分に冷却できるように大きめのものが良い。
ハンマーケラに付着しているノロを除去するために使う。大きめのものがよい。
耐火手袋砂鉄や炭を炉内に投入したり、ケラを炉内から取り出すときに使う。
鉄板ケラをこの鉄板の上でたたいてノロを除去するために使う。鍛造用の金床や平らな石などでも良い。
軍手(作業用)



たたら炉をつくり「たたら製鉄」で鉄をつくります!

1.たたら炉をつくる部分の地面を水平にならします。

2.亜鉛平トタン板を敷いて、その上に建材用のブロックを6個並べます。

3.耐火レンガで箱状の灰床をつくります。
  内法は幅レンガ1枚分の寸法、奥行きはレンガ1.5枚分の寸法、高さはレンガ3枚分となるようにします。
  レンガは交互に重なるように積んでいきます。そのためレンガを半分に切断した形状のものも使います。

4.灰床の上端が炉底になるようにしてレンガをコの字形に積んでいきます。
  レンガの長手方向1枚分の幅で開いている側はケラの取り出し口になる部分で、コの字形にレンガを積み終わったあとで、最後にレンガを積んでふさぎます。

5.炉壁レンガ積み1段目、向かって右側の炉壁中央部分にノロ出し用の開口部をレンガ長手方向の半分(短い端面の幅)の寸法で開けておきます。

6.炉壁レンガ積み4段目、向かって左側の炉壁中央部に直径1インチの羽口となる水道管が挿入できる開口部をつくっておきます。

7.炉底から約60cmの高さまでレンガを交互に積み重なるようにしてコの字形に積んでいきます。

8.シャフト(炉の上端に乗せる部分)を亜鉛平トタン(914mm×1829mm)でつくります。
炉の大きさに合わせて四角い筒をつくります。炉の上部に乗せるため、筒の一方の四隅に10cmの切れ込みを入れて外側に折り曲げます。こちら側がシャフトの下端となります。シャフトの上端部分には、四隅に20cmの切れ込みを入れて外側に約45度の角度で開いておきます。これは「たたら操業」で木炭をシャフト内へ山盛りに積み上げておくために必要となります。

針金でしばってできあがり!(^^)

シャフトはこのように炉の上に乗せて使うようになります。

9.松炭(雑炭でも可)を砕きます。約50kgが必要となります。

炭切りのコツ
 地面に建材用のビニールシートを敷き、炭を乗せる台となる角材を寝かせて置きます。炭は拳(こぶし)よりやや小さめの大きさに切ります。木目に沿ってナタを入れると良く割ることができます。木目方向と直角に切断するときは、炭を乗せる台となる角材の角に炭を固定してナタでたたくと粉(粉炭)が生じにくくなります。切断にともなってできた粉炭は、作業の途中で時々集めておくと作業がしやすくなります。

10.炉の底部に木炭を入れて突き堅め棒で一面に均しておきます。

11.羽口をレンガの穴の部分に、できるだけ斜めに固定して、羽口の先端部分を炉の内部へ約5cm出しておきます。羽口のパイプ(水道管)を固定するためには、レンガのかけらを使います。炉の内部に突き出ている羽口のパイプ(水道管)は、その周囲を耐火粘土を用いてお椀形に丸く塗り、保護しておきます。このとき炉の内部の耐火レンガを水で少し濡らしておくと、耐火粘土の接着がしやすくなります。炉から外部へ突き出ている羽口のパイプ(水道管)は、炉壁の開口部分に粘りけのあるように練ったモルタルを塗りつけて、隙間を埋めながら固定します。羽口の水道管を安定させるためブロックを縦にして支えにしておくと良いでしょう。羽口のパイプ(水道管)の穴には木炭を挿してふさいでおきます。

12.ノロ出し用の開口部に合うような大きな炭を挿入してふさいでから耐熱モルタル(プラスター)で隙間を埋めます。

13.ブロアー(送風機)で空気を送りながら木炭(松炭)に着火します。

14.木炭全体に火がまわったら、炉床を突き堅め棒で木炭をつぶしながらつきかためていきます。この時もブロアー(送風機)で空気を送りながら行います。木炭がつぶされて容積が減少したら、再び木炭や木炭粉を投入して突き堅め棒でつぶしながらつきかためていきます。

15.この作業をくりかえしながら行い、炉底の位置(高さ)まで木炭床を作っていきます。この木炭床は突き堅め棒でしっかりとつきかためておきます。炉底の高さまで木炭床ができたら、炉前面の炉壁となる耐火レンガを1枚積んで、炉底に木炭粉を入れてから底をお椀形にしておきます。ここにケラ(玉鋼)が溜まっていくことになります。その耐火レンガの上に1インチの鉄パイプが水平に入るように、半欠けの耐火レンガを2枚置いて鉄パイプを挿入します。この鉄パイプは炉内に約5cm出しておき、炉壁との隙間は耐火モルタルで埋めておきます。この鉄パイプは下羽口となります。下羽口の鉄パイプはブロックなどで安定させておくと良いでしょう。

16.鉄パイプの上にさらに耐火レンガを積んで前面の炉壁を炉の上端まで完成させます。

17.砂鉄(20kg)を準備します。

18.

19.「炭切り」「砂鉄入れ」「木炭入れ」「送風量チェック」「操業記録」「ケラだし」などの作業が数分おきに連続して行われるため、分担を決めておきましょう。

20.

21.羽口を上に付け替えます。

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23.

24.1回目のケラ出し

1回目のケラ出しで出たケラ

25.2回目のケラ出し


26.火伏せ用のイネ科の雑草を準備します。
27.シャフト部分を撤去したのちに、炉にかぶせます。

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29.

30.

31.約8.5kgの鉄ができました。(使用した砂鉄25kg、木炭約50kg)


今回の「たたら操業」の記録

 時刻
 9:00 築炉
10:17 火入れ
11:10 砂鉄1.0kg投入( 1回目)  累積 砂鉄 1.0kg
11:20 砂鉄1.0kg投入( 2回目)  累積 砂鉄 2.0kg
      下羽口から上(横)羽口へ切り替える
11:30 砂鉄1.5kg投入( 3回目)  累積 砂鉄 3.5kg
11:40 砂鉄1.5kg投入( 4回目)  累積 砂鉄 5.0kg
11:50 砂鉄1.5kg投入( 5回目)  累積 砂鉄 6.5kg
12:00 砂鉄1.5kg投入( 6回目)  累積 砂鉄 8.0kg
12:10 砂鉄1.5kg投入( 7回目)  累積 砂鉄 9.5kg
12:20 砂鉄1.5kg投入( 8回目)  累積 砂鉄11.0kg
12:30 砂鉄1.5kg投入( 9回目)  累積 砂鉄12.5kg
12:40 砂鉄1.5kg投入(10回目)  累積 砂鉄14.0kg
12:50 砂鉄1.5kg投入(11回目)  累積 砂鉄15.5kg
      第1回目のノロ出し
13:00 砂鉄1.5kg投入(12回目)  累積 砂鉄17.0kg
13:10 砂鉄1.5kg投入(13回目)  累積 砂鉄18.5kg
13:20 砂鉄1.5kg投入(14回目)  累積 砂鉄20.0kg
13:30 砂鉄1.5kg投入(15回目)  累積 砂鉄21.5kg
13:40 砂鉄1.5kg投入(16回目)  累積 砂鉄23.0kg
      ノロが流出する
13:50 砂鉄2.0kg投入(17回目)  累積 砂鉄25.0kg
      第2回目のノロ出し
14:18 シャフトを外して火伏せを行う
14:30 炉解体
14:46 送風機停止
15:05 ケラ出し


参考資料:東京工業大学・永田和宏「第4回たたらサミット・たたら研修会用テキスト」2002年 A4版 3ページ



前日(10月13日)に行われた「中世たたら製鉄再現」操業と「和鉄溶解」「釜鋳造実演」


群馬〜岡山 往復1500kmの弾丸ツアー(^^;)
片道約7〜8時間!

技術教育メーリングリスト(2002.10.14.)

大木(群馬・松井田町立西中学校)です。

第4回たたらサミットが10月12日(土)〜10月14日(月)に岡山県新見市で開催されました。
「たたらサミット」は2年ごとに開催されています。
今年は、最終日に「たたら研修会」が行われ、東京工業大学工学部金属工学科の永田和宏教授の指導でたたら製鉄の操業体験が行われました。
私は、今回は最終日のたたら研修会のみに参加してきました。1グループ4〜5人で全部で5つの炉でそれぞれ操業を行いました。
9:00に火入れを行い、15:30頃にケラだしでした。25kgの砂鉄から約8.5kgの鉄をつくることができました。
記念に同じグループの4人で山分け(^^;)したのですが、タガネとハンマーで約1時間格闘してやっと分けることができるほどの品質良好な鉄をつくることができました!コークスで加熱してナイフでもつくろうと思います。
当日会場で使った耐火レンガや用具類が無料でプレゼントされました!(もっとも私は車で行ったのですが耐火レンガ・・・熱くて持つのがたいへん・・・は記念に1つだけで(^^)、砂鉄、ノロなど授業でサンプルとして使えそうなものを持ち帰りました)

第2回たたらサミット(名古屋)面白いぞ材料は!〜きみだって鉄をつくれる〜は、ギジュツ・ドット・コムでWebページにしてありますが、今回の研修会もWebページにしますね。

研修会が終わって岡山県新見市を17:00に出発、往復1500kmの弾丸ツアーで群馬に着いたのは午前1:00でした。(中国自動車道から見た宝塚市の夜景はきれいでした・・・(^^))

そんな訳ありで
今日は1日中ボーっとしてました(^^;)


面白いぞ材料は!〜きみだって鉄をつくれる〜

平成10年度文部省科学研究費補助金研究成果公開促進費事業
主催:日本金属学会
後援:名古屋市教育委員会
協賛:日本鉄鋼協会
日時:1998年11月22日(日)
場所:産業技術記念館(名古屋市西区則武新町4−1−35)


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