産業技術遺産探訪 2000.4.3./2003.8.11

前橋製糸場(跡)

1870(明治3)年竣工

日本最初の機械製糸場

群馬県前橋市千代田町

 群馬地方は、古くから養蚕 製糸業が盛んで、前橋はその中心地でした。1859(安政6)年に横浜が開港して生糸貿易が開始されるとまもなく、当時の前橋藩は、特に製糸業の改良と発展に力を入れ、速水堅曹が中心となって、1870(明治3)年、スイス人ミニーラーを神戸から招き、前橋市内を貫流する広瀬川の水を水車による動力源として、細ヶ沢町に製糸機械を備え、藩立の「前橋製糸所」を設立しました。日本で最初の洋式機械製糸工場でした。
 その後、前橋は製糸業が盛んとなり、生糸の町としてその名を海外にまで知られるようになりました。ただし、実際の製糸業を支えていたのは上州座繰器を使った手作業による生糸生産で、組合製糸が主流でした。機械製糸が普及したのは明治30年以降のことになります。
 かつて「前橋製糸場」があった場所には、記念塔が建てられています。


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