産業技術遺産探訪 2000.4.3./2004.1.10.
上毛倉庫会社 若宮町倉庫
1917(大正6)年竣工
煉瓦造二階建・瓦葺屋根
群馬県前橋市若宮町1−5
上毛倉庫株式会社 旧・保税蔵置場
2003(平成15)年12月解体撤去
「群馬県立図書館」の西隣にある煉瓦倉庫です。2003(平成15)年12月解体撤去されました。
乾繭や生糸の倉庫で、1917(大正6)年竣工。
上毛倉庫会社は明治29年7月に第三十九国立銀行によって設立されました。「前橋市史」によると上毛倉庫会社の第三回営業報告では、役員として専務取締役・鷲田迅雄、取締役・江原芳平らの名前があり、第三十九銀行の役員がそのまま上毛倉庫会社の役員であったことを示しています。
上毛倉庫会社は二階建倉庫3棟(現存している煉瓦倉庫はこのうちの1棟?)と第三十九銀行が所有していた倉庫1棟の管理を任されていました。(「時事新報」4880号・明治30年4月14日)
業務内容は繭の保管と乾燥で、現存する倉庫は繭の保管に使用されていたものです。繭の保管の際に「原価記入の預券」を発行し、第三十九銀行が預券担保の貸付を行いました。繭生糸商、中小繭仲買商、座繰マニュファクチュア経営者、座繰小経営者らが商品担保として購入した繭を上毛倉庫会社へ預け、その預券により第三十九国立銀行から融資を受けていたと推定されます。明治30年代初めには、前橋製糸業関係者だけでなく、長野県諏訪地方の器械製糸関係者もこの融資を利用していました。 (前橋市史編纂委員会「前橋市史 第四巻」昭和53年 pp.830-833)