産業技術遺産探訪 2005.1.3.
旧 土岐家住宅洋館
旧 土岐邸洋館
1924(大正13)年竣工
木造三階建、スレート葺
建築面積119m2
国登録有形文化財
平成9年11月5日登録
群馬県沼田市西倉内町594番地 沼田公園内
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この建造物は、最後の沼田藩主土岐家の家督を継いだ土岐章・子爵が1924(大正13)年、現在の東京都渋谷区に平屋の和館部と連接して建築したもので、現存する洋館部について土岐實光氏からの寄贈の申し出によって、平成2年8月に群馬県沼田市西倉内町594番地(沼田公園内)に移築されました。
建物は、大正末期から昭和初期にかけてみられたドイツの郊外別荘風住宅で、外観全体を屋根・2階壁部・1階壁部とそれぞれ仕上げを異にする意匠の3層に分けています。俗に「牛の目窓」と言われる屋根窓を中央に配した急勾配の天然スレート葺屋根と、2階の下見板張りの外壁、1階の黄土色のドイツ壁仕上げに大正期特有の様式がよく表されています。
また、洋間の内部意匠は、装飾を豊かに用いた明治期の西洋館と異なり、壁・天井ともに白漆喰仕上げをして和室とともに表面の装飾的な扱いを避け、充実した生活を基本とした内部意匠を優先させています。
この建築は、明治期の大規模邸宅建築に見られた独立した洋館から、洋館部に続いて平屋の和館部があり応接空間を小規模の洋館として玄関脇に設置する昭和初期の文化住宅への過渡期を示す特徴を持っており、部屋の間取りも土岐子爵の接客内容をよく伝えていて、大正末期の貴重な遺構と言えます。