産業技術遺産探訪 2000.3.26.

東京電力
(旧・利根発電株式会社)

岩室発電所

最大出力 19600kW
発電機 1台

1915(大正4)年7月竣工
鉄筋コンクリート造平屋建

群馬県利根郡白沢村岩室

 明治時代末には、高圧・交流送電方式によって遠距離送電が技術的に可能になりました。
 1909(明治42)年に「上毛水電会社」が「利根発電会社」へ変わるとともに、岩室発電所の建設が1913(大正2)年からはじまりました。初めの計画では発電機と水車をドイツから輸入することになっていましたが、第1次世界大戦の影響で不可能となり、発電機をアメリカの「GE社(ゼネラル・エレクトリック社)」から3台輸入し、水車は「日立製作所」が製作することになりました。この水車は国産初であり、1万馬力の出力に対応するものとなりました。片品川(利根川の支流)の水を利用した1万キロワット以上の発電を目的として建設された「岩室発電所」は、当時としては画期的な発電所であったわけです。
 建設当時の発電所の建物が現存しています。この鉄筋コンクリート構造の建築物は、鉄筋コンクリート造の建築物として現存するものでは古いものとなります。発電所内の発電機や水車は、昭和30年に更新されています。走行クレーンは現在でも可動であるということです。 

 「旧・利根発電株式会社 岩室発電所」竣工当時から1963(昭和39)年まで稼働していた10000馬力フランシス水車ランナーおよびケーシングとこの水車発電機に付属する直流励磁機駆動用のペルトン水車ランナーは、日立製作所・日立事業所(茨城県日立市)に保存展示されています。

 岩室発電所の見学当日(2000年3月26日)には、発電所の全面改修工事がはじまっており、発電所正面がシートで見えにくくなっていました。その後、2000年5月19日に改修工事が終了しました。この工事によって発電所の外装が改修され、発電所内の発電機も新たに1台に置き換えられ、出力19600キロワットと10%向上し、一般家屋7000戸分の発電が可能となりました。近代化遺産としてモニュメントも設置されました。(群馬テレビ・ニュース 2000年5月26日放送より)

「岩室発電所」水圧鉄管
建設当初?の水圧鉄管用礎石が残っています。
山側の水圧鉄管 発電所側の水圧鉄管
改修工事中の岩室発電所(2000年3月26日)
発電所壁面の装飾が建設された時代を感じさせます。

利根発電株式会社・岩室発電所

 1915(大正4)年に日立製作所で製造され、1963(昭和39)年まで岩室発電所で稼働していたフランシス水車、ペルトン水車などが、日立製作所・日立事業所(茨城県日立市)に保存されています。

10000馬力フランシス水車のケーシング 1915(大正4)年 日立製作所 製造
 重量13t、口径(直径)762mm
10000馬力フランシス水車ランナー 1915(大正4)年製造
325馬力ペルトン水車ランナー 1915(大正4)年製造
利根発電(株)岩室発電所水車組立図


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