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研究用原子炉
JRR-3
(JRR−3M)
apan esearch eacter No.
 JRR−3は、原子力の基礎研究、開発研究、燃料や材料照射、放射性同位元素の生産等を目的として、1962(昭和37)年に建設されましたが、中性子照射および中性子ビーム実験についての高度な照射条件と良質なビームの要望に応えるために、改造することになりました。
 原子炉の改造工事は、1985(昭和60)年8月に開始され、1990(平成2)年3月に臨界となり、11月から最大熱出力20MWで利用運転を開始しました。
 JRR−3は改造後にJRR−3Mとなりました。
 改造後のJRR−3Mは、多くの照射実験設備、ビーム実験用設備および冷中性子源装置を設置して、世界的に最高水準の実験研究等が可能な汎用型研究炉となりました。最大熱中性子束は、従来より1桁高い約2×10^14n/cm^2・secです。さらに、この原子炉は、特に信頼性の高い制御系や冷却系(冠水維持設備)を有した安全設計を採用しています。 
JRR−3M 原子炉
(国産1号炉)   JRR−3・・・・・炉形式:ウラン酸化物重水減速重水冷却非均質型
                      熱出力:10MW  炉心直径:約260cm
(JRR−3改造炉)JRR−3M・・・炉形式:低濃縮ウラン軽水減速冷却プール型
                      熱出力:20MW  炉心直径:約60cm
 実験に利用するために、炉心に「垂直実験孔」、重水タンクに「垂直実験孔」および「水平実験孔」が設けられ、
「垂直実験孔」は照射実験、「水平実験孔」はビーム実験に使われます。
 照射実験設備は、試料を垂直実験孔に挿入して中性子を照射し、原子炉用燃料や材料の照射実験、
ラジオアイソトープの生産、放射化分析、半導体用シリコンの製造などを行うための設備です。 



JRR−3 ビームホール(ビーム実験棟)
中性子ビーム実験装置
 中性子は、運動エネルギーまたは速度によって分類されることがあります。
 核反応で放出される中性子は、約数MeVの運動エネルギーを持ち、これらの中性子を高速中性子速い中性子)といい、
物質中で減速され運動エネルギーが1keV以下になったものを低速中性子遅い中性子)といいます。
 低速中性子で、媒質中の分子の熱運動と平衡に達したもの(常温で約0.025eV)を熱中性子(thermal neutron)
といい、それよりもやや高い運動エネルギーをもつものを「エピサーマル中性子」とよびます。
 摂氏−250度以下の温度に相当する運動エネルギーをもつものを冷中性子といいます。
 さらに低温に冷却した「超冷中性子」をつくりだして、容器の中に閉じこめる技術も開発されています。
  中性子導管(鏡管ユニット)
 中性子は、鏡面にした物質表面で全反射する性質が
あります。中性子導管は、ガラス表面にニッケルを薄膜
加工した中性子鏡であり、原子炉で発生した中性子を
反射させながら、離れた実験装置まで中性子を供給する
ためのものです。
熱中性子導管
 冷中性子源装置は、熱中性子を液体水素(絶対温度20度)により減速させて、冷中性子にするための装置です。
 冷中性子は、中性子導管によって実験利用棟のビーム実験装置まで導き出され、高分子のような大きな分子構造を
調べることなどに使われます。
冷中性子導管

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