日本のあかり博物館

長野県上高井郡小布施町973(竹風堂本店中庭)

 1999(平成11)年12月6日(月)に「日本のあかり博物館」を見学しました。小布施町のほぼ中心部に位置しています。勤務している学校の視察研修で小布施町を訪れた機会に立ち寄ることができました。
 この博物館の館長である金箱正美氏が長年にわたって収集してきた照明器具や、あかりに関する資料などの灯火具コレクションが1980(昭和55)年に国の重要有形民俗文化財に指定されました。「日本のあかり博物館」は、これらの貴重な文化財指定資料「信濃及び周辺地域の灯火用具(関係資料を含む)」963点を常設展示する「あかり、灯火具」をテーマとした専門博物館で、1982(昭和57)年に開館しました。

 この博物館の建物は、明治末期に建てられた米蔵2棟と昭和初期の倉庫1棟を展示室として改装したものです。展示室内は古建築独特の落ち着いた雰囲気が生かされています。
 館内は、入口を入ると受付とミュージアムショップがあります。本館、新館2階、新館1階の順に巡るようになります。館内の撮影をすることは許可されていません。
 本館の展示室へ向かう通路には灯火具・照明器具の移り変わりを図にした年表などが掲示されています。年表には購入することができるもの(B1判・500円)もあります。人類のはじまりの頃の発火道具から種油、ろうそく、石油、ガス、電気を用いた灯火具や照明器具が年代順・種類別に年表形式でまとめられており、技術科での「電気」や「エネルギー」の学習などで活用することができます。(電気による照明器具については、ややおおまかに掲載されています。)
 本館の展示室入り口には、ビデオ上映コーナーが設置されており、財団法人「日本のあかり博物館」が制作したオリジナル・ビデオを視聴することができます。見学した時には、発火道具や発火方法に関するものと、種油を用いた灯火具とそのしくみに関するものを見ることができました。
 本館展示室では、灯火具の移り変わりや灯火具の工夫、火おこしの道具を、実物で展示しています。
 階段を上って新館2階は、ろうそくを用いた灯火具のコレクションや、灯火具の描かれた版画ギャラリーがあります。
 階段を下りて、新館1階には「和ろうそく造りの仕事場」や「つけ木作りの仕事場」が当時の様子そのままに再現されています。作業工程や道具類がわかりやすく展示されていました。また「明るさの比較体験室」があり、「あんどん(種油)」、「ぼんぼり燭台(ろうそく)」、「台ランプ(石油)」、「白熱電球(60ワット)」の4種類の光源による明るさの比較実験が実際に体感しながらできるものになっています。あんどんや石油ランプの光源には、その明るさに相当する特殊電球を使用しており、照度測定は東芝ライテック株式会社照明開発研究所が行っているそうです。光源によって書見台上の文字や色がどのように変わって見えるかということや、種油を使っていた時代には、ろうそくは贅沢な灯火具であったこと、電灯の明るさのすごさ(あんどんの80倍、ぼんぼり燭台の40倍、台ランプの16倍!)に驚かされました。「体験広場」は、夏休み火おこし体験会などの催し物が実施されているということです。
 ミュージアム・ショップでは、灯火具やあかりに関係するたくさんのモノが販売されています。年表、和ろうそく、セイフティ・マッチなど技術科の授業で活用できそうなものを購入してきました。
 大正時代(昭和初期も若干)までの灯火具や照明器具を系統的に収集・展示してあるため、これらについて研究や資料収集されている方には、非常に貴重な展示内容と言えます。

「日本のあかり博物館」図録
(A4判・128ページ・1800円)
大正〜昭和初期までが特に詳しい
年表(B1判・500円)です。電気を
使った照明器具も大まかに載ってい
ます。
和ろうそく・・・櫨蝋でなく糠蝋でつくられ
ているものです。近江今津にある(有)
大興の製品です。500円
(有)マッチコレクションズの製品です。
「1898年フランスの化学者によって
発明され・・・」とありますが、これは誰
のことでしょうか?「科学史技術史事典
(弘文堂)」で調べてもわかりません!
 博物館近くの「和紙の中條」で購入した
内山和紙(※)」(280mm×400mm
100円・・・・価格の目安は1丈×6で
約35000円ということです)
 全国の和紙の標本を作りたい!(^^)

発火具である「マッチの歴史は「たばこと塩の博物館」のページをご覧ください。


内山和紙・・・・・内山和紙は長野県飯山地方で生産されている、楮(こうぞ)の繊維のみを使ったものです。内山和紙の製造工程は、楮の植え付け→切り取り→皮むき→表皮(黒い部分)のはぎ取り→漂白(雪上で天日による)→砕いて繊維状にする→紙漉き容器内で溶解→紙漉き→乾燥→裁断、という順序が手作業で行われます。内山和紙は障子紙の代名詞にもなっています。


開館:午前9時30分〜午後5時(11/21〜3/20は午後4時30分閉館)
休館日:毎週水曜日(年末年始12月30日〜1月2日休館)          
入館料 大人300円 学生(小中学生)150円 団体割引:20名以上1割引
交通:長野電鉄「小布施駅」下車 徒歩7分                    
    上信越自動車道「須坂長野東IC」または「信州中野IC」から車で15分 


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