技術史・産業技術遺産探訪 2012.11.3.
名古屋城 本丸御殿復元工事 現場見学会(特別見学コース)
2012年11月3日
2012年11月3日限定の特別見学コースで復元工事の様子を間近に見ることが出来ました。
見学コース内で、復元工事の解説や大工道具の説明・展示がありました。
かつて名古屋城の本丸には、天守閣とともに本丸御殿がありました。この本丸御殿は、近世城郭御殿の最高傑作として、現在、国宝になっている京都二条城の二の丸御殿と並び、武家風書院造の双璧といわれた建物です。勇壮な天守閣と優美な御殿が並び建つことで、名古屋城は城郭建築としての風格を形成しており、1930(昭和5)年に城郭建築として国宝第1号に指定されましたが、1945(昭和20)年に空襲により天守閣とともに焼失してしまいました。しかし、本丸御殿の室内を豪華絢爛に飾っていた1047面にのぼる襖絵(ふすまえ)や天井板絵などは、戦災を免れ、国の重要文化財として今も大切に保管されており、また江戸時代の文献や正確な実測図、多くの古写真が残されていることから、史実に忠実な復元が始まっています。
本丸御殿跡の礎石の周囲や上部に保護用の砂を敷き、
砂を敷いた後、鉄筋を組み、コンクリートを流して耐圧盤を作ります。
耐圧盤は、遺構を保護するとともに、復元する本丸御殿の基礎になります。
耐圧盤の上の元々の礎石と同じ位置に、新たに礎石を据え付けます。そして、本丸御殿を復元していきます。
匠体験(カンナ掛け、こけら板の釘打ち、壁土塗り)
鉋(かんな)で檜(ひのき)を削る
こけら板に木の釘を打つ
壁土塗り
工具の展示と解説が行われていました。使い方についても実演がありました。
「口引(くちひき)」・・・礎石の形状に合わせて柱の下部を削るために、けがき線をかく道具の使い方を実演しながら解説
・本丸御殿復元工事 木材加工場・原寸場 愛知県名古屋市中区本丸1
木材の保管と加工が行われています。当日は1期工事のうち表書院の木材加工が行われていました。
大工道具研ぎ場
・本丸御殿復元工事見学コーナー(工事用現場事務所)
木取り
「規矩術」と「さしがね」
規矩術とは
「規矩術」は、「規矩準縄術」のことで、「規」は円、「矩」は方形、「準」は水平、「縄」は垂直を意味するものです。
規矩術はもともとは、法・型・手本とも解され、さまざまな標準や法則の基として、
社寺建築等の木割りから、手斧始め・家相・上棟式等の諸儀式に至るまでの広範囲にわたっていました。
現在の規矩術は、さしがね使いのような、実際の工作に必要な方法のみを意味するようになっています。
さしがね(指矩、指曲、指金)
さしがねの目盛り
さしがねの目盛りには、表目と裏目それに丸目があります。
表目盛りはさしがねの表面外側に刻まれている目盛りで、一般に使用されているセンチメートル、あるいは尺貫法の寸の目盛りになっています。裏目盛りはさしがねの裏面長手外側に刻まれており、表目盛りに対する√2倍の目盛りです。つまり、裏目盛りは、正方形の一辺を10としたときの対角線の長さを10で割った長ささとなります。また、裏面長手内側には、丸太尺(丸目尺)と称する目盛りが刻まれています。これは円の直径に対する円周率によって、円周の長さを知るための目盛りになっています。
現在使用されているメートル尺の「さしがね」では、
表目盛り
さしがねの表の長手外側に50cm。また、表面短手外側に25cmが刻まれています。さしがねの短手は妻手とも呼ばれています。
裏目盛り
さしがね裏面長手外側に刻まれた、表目盛りに対する√2倍の目盛りで、表目盛りに対する1.414213・・・倍の目盛りです。
丸目盛り
一般には丸太尺または丸目尺とも呼ばれ、さしがね裏面の長手内側に目盛られ、円周÷直径=3.1416・・・を表した目盛りです。つまり丸目=表目÷3.1416 となります。
仕口(しくち)
2本の部材を、ある角度をなして交差させるとき、その交点のことを節点といい、節点が一体となるように二材を組み合わせるやり方を「組手」といいます。
1本の材にもう1本の材を差し込むやり方を差口といい、組手と差口を併せて「仕口」と呼びます。
継手(つぎて)
2本の部材を、その材軸の芳香に連続となるように一本化させて、1本の長い部材とする行為を「継ぐ」といいます。
部材と位置に応じてそれぞれ最も適した継ぎ方があり、それらを総称して「継手」と呼びます。
土壁(漆喰:しっくい)の見本
・西南隅櫓及び旧二之丸東二之門 保存修理工事
・「西北隅櫓(国重要文化財)」内部公開 愛知県名古屋市中区本丸1
・「乃木倉庫(国登録有形文化財)」内部公開 愛知県名古屋市中区本丸1