産業技術遺産探訪 2001.12.2./12.22./2002.1.26.

電気機関車

EF16 28

1947(昭和22)年9月30日 (EF15-31) 三菱重工業 製造
1957(昭和32)年12月10日 (EF16-28) 国鉄 大宮工場 改造

群馬県利根郡水上町 道の駅「水上町水紀行館」駐車場

越線水上〜石打間の清水トンネルをはさんだ上越国境の急勾配区間専用補助機関車

 越線水上〜石打間の清水トンネルをはさんだ上越国境の急勾配区間専用補助機関車としてEF15を改造したものです。展示保存されているEF16の28号機は昭和22年9月30日に三菱重工で製造されたEF15の31号機を昭和32年12月10日に補助機関車として改造したものです。長岡第二機関区、水上機関区に配属され、昭和56年12月1日に廃車となるまで242万8362km(地球61周分に相当・・・・月まで6往復半!)を走破しました。
 上越線開通50周年記念事業として、ゆかりのある水上町に貸し出され展示保存されています。(保存状態が悪く放置された状態であることが残念です。)


EF16−28 諸元
EF16 第2次形
製造年月日 昭和22年 9月30日 (EF15−31) 三菱重工業株式会社
改造年月日 昭和32年12月10日 (EF16−28) 国鉄・大宮工場
廃車年月日 昭和56年12月 1日

配属機関区 長岡第二機関区、水上機関区
運転線区 上越線 水上〜石打 間(急勾配用 補助機関車として運用)

全走行キロ数 242万8362km
最大寸法 全長 17.00m
       全幅  2.80m
       全高  4.07m
台車形式
先台車 LT129 (先輪直径  86cm)
主台車 HT61  (動輪直径 126cm)

最大速度 75km/h
全重量    105.92t
動輪上重量  90.00t
最大軸重   15.00t
電気方式 直流1500V
1時間定格出力 1600kw
1時間定格引張力(全界磁) 15100kg
1時間定格速度(全界磁) 39.5km/h

主電動機(形式×個数)
       MT41 × 6
       1600kw×6

動力伝達装置 1段歯車装置、ツリカケ式
歯車比 20:83=1:4.15
制御方式 非重連、3段組合せ方式、弱界磁制御
制御装置 電磁空気単位スイッチ式
制御回路電圧 100V

ブレーキ装置
    EL14AS空気ブレーキ
    電力回生ブレーキ
    手ブレーキ

 「EF16」は、奥羽本線 板谷峠(福島〜米沢 間)の急勾配区間補助機関車用にEF15形(戦後、旅客用電気機関車EF58に続いて貨物用機として設計製作されたもので、登場時には歯車比と台車形式が異なる他は、EF58と同じ外観をしていました。EF58はのちに車体形状が変更されました。)の一部を改造した直流電気機関車です。EF15運用当初には急勾配区間で動輪が発熱によって緩みを生じたため、水冷装置を搭載しました。1951年には、新たに開発された「電力回生ブレーキ」が取り付けられ、本格的な勾配用機関車として再改造が実施され「EF16」が登場しました。EF16の1号機から12号機までは東芝によって施工されました。
 ここに展示されているEF16−28は、上越線で運用されていたEF15に電力回生ブレーキ装置を取り付けたもので、当時運用されていた12両が1955年から国鉄・大宮工場で順次施工されていきました。上越線用のEF16は、上越線 水上〜石打 間の勾配特性に合わせて電力回生ブレーキ装置の性能が奥羽本線 福島〜米沢 間のものとは異なっています。
 1965年に勾配線区用の高性能電気機関車EF64が登場し、奥羽本線 板谷峠(福島〜米沢 間)に充当されたため、この線区で運用されていたEF16も全機が上越線 長岡第二機関区へ転配属され上越線水上〜長岡間、信越線直江津〜長岡間で運用されました。
 なお、展示されているEF16−28は、車体が1947年に新製された当時のEF15原形の車体そのままであり、そうした面からも貴重な歴史的技術遺産と言えます。

厳しい気象条件の中で活躍した往年の勇姿が蘇ります。
(2001年12月22日撮影)


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