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水質検査の方法

・水の臭い、味、色、濁りぐあい(濁度)
   ・・・・※ただし、臭いや味は汚染されている水の場合は確かめる方法としては使えない。

・生物(動物植物)を指標として調べる。
   ・・・・比較的きれいな水に生息している  サワガニ、トビケラ、 オランダガラシ
      汚い水に生息している         イトミミズ       ミズワタ、エビモ

公定分析法
 公的な機関が専門の技術者によって行う水質検査で、日本工業規格(JIS)に基づいて高度な分析機器や薬品を使って行われるもの。

簡易分析法
 安価な分析機器や薬品を使って分析する方法。試験紙法、パックテスト法、試水自動採取アンプル法、検知管法、ドロップテスト法、錠剤添加法などがある。

 このような化学的な方法と合わせて、温度、透明度、流速などの物理的な方法も併用される。


水質検査の調査分析項目

 フォーレル水色計、ウーレ水色計

透視度・透明度

透視度計、透明度板

臭い

 芳香性臭、植物性臭、土臭、かび臭、魚介臭、薬品性臭、金属性臭、腐敗性臭、不快臭

水温

 溶存酸素の数値との関連

流量(水量) 流量(m^3/sec)=断面積(m^2)×流速(m/sec)

 流量(水量)が多いということは、それだけ汚染物質の絶対量も多いということになる。ほぼ直線の川の断面積(川幅×平均水深)と流速(流速計または浮きで測定)で計算する。

電気伝導度(EC) 電導率、導電率  単位: μs/cm (マイクロジーメンズ)

 電気の通しやすさの尺度で、電気抵抗の逆数(電気抵抗度=1/電気抵抗)で表す。水中に溶解している物質の量を短時間で測定できる。電気伝導度が高い値ほど、水にさまざまな物質が溶解していることになり、一般的には汚い水といえる。
 電気伝導度計(導電率計)で測定する。
 10〜30μs/cm 雨水、 50〜100μs/cm 河川上流、 200〜400μs/cm 河川下流

水素イオン濃度(pH)

 水の液性を示す指標の1つで、pH1〜pH14まである。7が中性で、7より高い値がアルカリ性、7より低い値が酸性を示す。大気中には二酸化炭素があり、大気汚染の影響を受けなくとも雨水に吸収されて酸性となる。このため、雨水がpH5.6以下の値を示す場合に酸性雨と呼ぶ。石油や石炭が燃焼したときに発生する硫黄酸化物や、自動車などの排気ガスに含まれる窒素酸化物が雨水に溶け込んで酸性度の強い酸性雨となる。
 日本の雨(1992年6月〜8月・日生協が実施した全国調査) pH4.4〜5.4
 水道法による水道水 pH5.8〜8.6
 一般的な天然水(地下水など) pH6〜8

塩素イオン濃度(Cl−) 残留塩素(OT法、DPD法)

水に溶けている塩化物中の塩素の濃度のことで、生活排水に多く含まれている。一般に雨水には少ない。

アンモニア態窒素(NH4−N) アンモニア性窒素

 アンモニア、アンモニウム塩、アンモニウムイオン等を構成する窒素。
 家庭からの雑排水や、し尿などに多く含まれている。
 0.05ppm 河川上流・湧水、 0.1〜0.4ppm 雨水、 0.5〜5.0ppm 河川下流、 5.0ppm以上 下水・汚水

亜硝酸態窒素(NO2−N) 亜硝酸性窒素

 亜硝酸イオン(NO2−)および亜硝酸性窒素(NO2−N)の濃度(mg/l)、すなわち亜硝酸態の窒素成分を指す。
 窒素イオンは植物の生育に必要な要素で、生物の分解(死骸)により供給される(有機態窒素)が、肥料・工場排水・生活排水にも多く含まれている。水の中に入った窒素化合物は腐敗菌によって分解され、アンモニア性窒素となり、さらに分解が進むにつれ亜硝酸性窒素、硝酸性窒素となっていく。
 亜硝酸は酸素が多い水の中では硝酸となり、酸素の少ないときにはアンモニアとなる。亜硝酸が硝酸に変化するときには水中の酸素が多量に使われて水は酸欠状態になる。また亜硝酸そのものに魚毒性がある。
 また、「富栄養化」などを引き起こす栄養塩の一種が窒素イオンで、窒素イオンを測定すると水の汚れ具合がわかる。窒素イオンが増加すると植物プランクトンや藻類の異常発生などを引き起こし、環境に大きな影響を与える。
 0ppm きれいな水、 0.0018〜0.03ppm 河川上流、 0.09ppm 河川下流、 0.006〜0.03ppm 少し汚染されている、 0.03〜0.06ppm 汚染されている、 0.06〜0.15ppm 多く汚染されている

硝酸態窒素(NO3−N) 硝酸性窒素 

 硝酸イオンの測定で、同時に硝酸性窒素の値も測定できる。
 窒素イオンは植物の生育に必要な要素で、生物の分解(死骸)により供給される(有機態窒素)が、肥料・工場排水・生活排水にも多く含まれている。水の中に入った窒素化合物は腐敗菌によって分解され、アンモニア性窒素となり、さらに分解が進むにつれ亜硝酸性窒素、硝酸性窒素となっていく。
 亜硝酸は酸素が多い水の中では硝酸となり、酸素の少ないときにはアンモニアとなる。亜硝酸が硝酸に変化するときには水中の酸素が多量に使われて水は酸欠状態になる。
 また、「富栄養化」などを引き起こす栄養塩の一種が窒素イオンで、窒素イオンを測定すると水の汚れ具合がわかる。窒素イオンが増加すると植物プランクトンや藻類の異常発生などを引き起こし、環境に大きな影響を与える。
 0.2〜0.4ppm 雨水、 0.2〜1.0ppm 河川上流、 2.0〜6.0ppm 河川下流・地下水・湧水

酸化態窒素(Nox−N)

 亜硝酸態窒素と硝酸態窒素の総称で、アンモニア態窒素が生物化学的に酸化された場合に生成される窒素を指す。
 窒素イオンは植物の生育に必要な要素で、生物の分解(死骸)により供給される(有機態窒素)が、肥料・工場排水・生活排水にも多く含まれている。水の中に入った窒素化合物は腐敗菌によって分解され、アンモニア性窒素となり、さらに分解が進むにつれ亜硝酸性窒素、硝酸性窒素となっていく。
 亜硝酸は酸素が多い水の中では硝酸となり、酸素の少ないときにはアンモニアとなる。亜硝酸が硝酸に変化するときには水中の酸素が多量に使われて水は酸欠状態になる。また亜硝酸そのものに魚毒性がある。
 また、「富栄養化」などを引き起こす栄養塩の一種が窒素イオンで、窒素イオンを測定すると水の汚れ具合がわかる。窒素イオンが増加すると植物プランクトンや藻類の異常発生などを引き起こし、環境に大きな影響を与える。
 水道法では酸化態窒素(亜硝酸態窒素と硝酸態窒素)は10ppm以下と定められている。 

リン酸イオン態リン(PO4−P) リン酸性リン

 水の中に含まれるリン成分のこと。リン酸イオンは植物の生育に必要な要素で、生物の分解(死骸)により供給されるが、肥料・工場排水・生活排水(合成洗剤など)にも多く含まれている。「富栄養化」などを引き起こす栄養塩の一種がリン酸イオンで、リン酸イオンを測定すると水の汚れ具合がわかる。リン酸イオンは、一般的には水中には微量にしか存在していない。リン酸イオン値が高いと、生物の分解や生活排水の流入が多いことを示す。リン酸イオンが増加すると植物プランクトンや藻類の異常発生などを引き起こし、環境に大きな影響を与える。
 リンは水の中では、リン酸イオン(PO4 3-)や有機リンで存在している。
 0.05ppm以下 雨水・河川上流、 0.1〜1.0ppm 河川下流

無機態窒素(inorg−N)

アンモニア態窒素と酸化態窒素を合計した、無機態窒素の合計。

化学的酸素消費量(COD) Chemical Oxygen Demand

 水中にある物質(主に有機物)が酸化剤によって酸化や分解されるときに消費される酸素量のこと。(特定の物質を指すものではない。) CODの測定値(mg/l)が高い(5〜10mg/l)と、生活排水や工場排水などの汚水が混入している可能性が高く、水中の酸素が不足して魚などが棲息できず、自然浄化作用も止まってしまう。
 0ppm 汚染なし、 1ppm以下 きれいな渓流(ヤマメ、イワナが棲息できる)、 1〜2ppm 雨水、 3ppm以下 サケやアユが棲息できる、 2〜5ppm 少し汚染(落ち葉・水草の分解で1〜5ppmになることがある)、 5ppm以下 コイやフナが棲息できる、 2〜10ppm 河川下流、 10ppm以上 下水・汚水

生物化学的酸素消費量(BOD)

 バクテリアが水中の有機物を分解するときに消費した酸素量で、分析する水の中のバクテリアを摂氏20度で5日間培養したときの消費された溶存酸素量から求める。BODを測定する簡易測定法はなく、高度な分析機器を使って測定を行う。

溶存酸素(DO) dissolved oxygen  

 溶存酸素の測定法:ウインクラーアジ化ナトリウム変法、ミラー変法、電極法、ウインクラー変法(ケメットDO計、ポナールキットDO)

 有機物をたくさん含んだ水(汚れた水)は、有機物が分解されるときに酸素が消費されるため、溶存酸素が少なくなる。溶存酸素が少なくなると酸欠となり魚なども死んでしまう。溶存酸素は水温、気圧、溶存塩などの影響を受ける。
 きれいな水には溶存酸素が多い、 2mg/lで魚が棲息できない
 摂氏20度・1気圧で最高8.84mg/lの酸素が溶存できる。
 「水質汚濁に係わる環境基準(水質環境基準)」・・・・河川7.5mg/l以上、湖沼5mg/l以上、海域2mg/l以上

過マンガン酸カリウム消費量

カドミウム

シアン

有機リン

六価クロム

ヒ素

水銀

アルキル水銀

PCB

亜鉛

二価鉄

マンガン

フッ素

フェノール類

ニッケル

アルミニウム

マグネシウム

マンガン

遊離シアン

フェノール類

シリカ

ヒドラジン

ホルムアルデヒド

過酸化水素

アンモニア

トリハロメタン

トリクロロエチレン(TCE)

テトラクロロエチレン(PCE)

1,1,1−トリクロロエタン(MC)

陰イオン系界面活性剤 

 公式法・・・原子吸光法、炎光光度法、ガスクロマトグラフィ法、液体黒間とグラフィ法
 簡易法・・・MB−Ey法

 水道法では0.2ppm以下

硬度

大腸菌・一般細菌

 公式法・・・平板寒天培養法
 簡易法・・・一般細菌試験紙法、大腸菌群試験紙法


ppm(parts per million):100万分の1


水質基準

「水道水の水質基準」 1958年制定 ※伝染病予防がねらい
「水質汚濁に係わる環境基準(水質環境基準)」 1971年 ※重金属が中心
「水質汚濁防止法」 1971年 ※排水基準
   ・有害物質に係わる排水基準
   ・生活環境に係わる排水基準
「水道水の水質基準」 厚生省生活環境審議会1992年12月改定  26項目→85項目
「水質汚濁に係わる環境基準(水質環境基準)」 1993年1月 中央公害審議会答申 9項目→24項目、規制値強化
   ・「人の健康の保護に関する環境基準」
   ・「生活環境の保全に関する環境基準」

生活雑排水・浄化槽や下水処理場からの放流水基準

課題:
  ・汚染に係わる物質が網羅されていない。
  ・基準が緩すぎる。(生活雑排水・浄化槽や下水処理場からの放流水基準など)


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