窪田雅男「工作機械〜機械をつくる機械」(日経サイエンス10) 日本経済新聞社 1970(昭和45)年 B6・248p (580円)

 著者の窪田雅男氏は、商工省機械試験所、工学院大学、工業技術院機械試験所(所長)などで工作機械や加工法について研究されてきた方です。
 本書は、工作機械と加工技術について基礎から1970(昭和45)年当時の最先端の技術までを紹介しています。工作機械を「機械を作る機械」としてとらえ、工作機械のおおまかな輪郭を把握するために、工作機械でのさまざまな加工法、切削作用とその効率、駆動機構と速度列や工作機械の歴史について取り上げています。また、工作機械を4つのタイプ、すなわち、
 1.刃物で削る「切削加工機」
 2.砥石で削る「研削加工機」
 3.特殊なエネルギを利用する「特殊加工機」
 4.変形してつくる塑性加工機
に分けて解説しています。
 また、当時の日本が世界に誇っていた工場技能者の高いレベルの一方で、自動化・省力化の進行しつつあった社会状況をふまえ、工作機械の自動化(多品種少量生産、ならい制御方式・ならい工作機械、数値制御工作機械)や生産システム、工作機械やその設計に関する将来への展望についても触れられています。

目次
T 機械を作る機械
 1.工作機械とは何か
 2.加工法のいろいろ  除去加工/塑性加工
 3.切削作用とその効率  切削抵抗の三分力/切削と温度上昇/工作機械の経済的使用法
 4.工作機械の運動  工作機械の駆動機構/速度列
 5.工作機械の歴史  近代化はイギリスから/主導権はアメリカへ/工具材料の進歩/わが国の工作機械工業
U 刃物で削る機械
 1.旋盤(レース)
 2.ボール盤(ドリリング・マシン)
 3.中ぐり盤(ボーリング・マシン)
 4.フライス盤(ミリング・マシン)
 5.その他の切削機械
    平削り盤(プレーナ)/形削り盤(シェーパ)/立削り盤(スロッタ)/歯切り盤(ギヤ・カッティング・マシン)/
    専用機/その他の機械
V 砥石で削る機械
 1.研削の原理
 2.各種の研削盤
    円筒研削盤(シリンドリカル・グラインダ)/平面研削盤(サーフェイス・グラインダ)/
    内面研削盤(インターナル・グラインダ)/心なし研削盤(センタレス・グラインダ)/
    工具研削盤(ツール・グラインダ)/歯車研削盤(ギヤ・グラインダ)/その他の研削盤
W 特殊工作機械
 1.電気的エネルギの利用
    放電加工/電子ビーム加工/プラズマ加工/レーザ・ビーム加工/電解加工
 2.化学的エネルギの利用   化学加工
 3.機械的エネルギの利用   超音波加工/噴射加工
X 塑性加工機械
 1.塑性加工の基礎  成形方法/プレス機械の原理
 2.材料の力学的性質
 3.プレス加工
 4.プレス機械
    クランク・プレス/摩擦プレス/トッグル・プレス/高エネルギー速度プレス/液圧プレス/特殊プレス
 5.プレス以外の塑性加工機   切断、曲げ、圧縮/回転成形機
Y 工作機械の自動化
 1.自動化の発達   機械の自動化と制御/自動化の方式/位置の自動制御
 2.ならい工作機械  ならいの歴史/ならい制御機構/ならいの有用性と技術動向
 3.数値制御工作機械  NCの適用/NC工作機械の作動/NCテープの指令情報のコード化
 4.マシニング・センタとソフトウェア
     マシニング・センタとは/工具の自動交換と制御/プログラミングの問題点
 5.NC工作機械の新展開  適応制御工作機械/NC工作機械の群管理システム
 6.NC工作機械導入上の問題点
     NCの普及/NCマシンの考え方/グループ・テクノロジー(GT)
Z これからの工作機械
 1.工作機械に要求されるもの
 2.現代工作機械の一般的傾向
 3.工作機械の設計
     設計の主眼点/機械構造物の静剛性/機械構造物の動剛性/機械構造物の熱変位/
     軸・軸受けおよび潤滑/案内面(ガイドウェイ)/機械的駆動系/油圧駆動系
 4.わが国工作機械の技術水準と研究開発
     日本工作機械工業の躍進/工作機械の研究開発/工作機械の生産体制
機械技術史略年表  


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