おもしろ分解博物館 2001.5.3.

おもしろ分解博物館〜機械のなかみは?

東芝 カセットVTR A−BS62

究極の超精密ベアリングをみつけよう!

 ビデオデッキの録画ヘッド部分に使われているベアリングは、機械要素として使われている軸受(ベアリング)の中でも非常に精度の高い部品が用いられています。このベアリングの真円度は機械部品として使われている球の中では最も真球に近く、高度な製造のためのノウハウが要求される日本の生産技術のお家芸でもあります。そんなボールベアリングを探してみましょう!

引っ越しの片づけで出てきた、壊れたビデオデッキをいただきました。
こういうものをもらって喜ぶのは私だけですね・・・(^^;)
BS(衛星放送)チューナー内蔵の上級機種です。
分解の前に、一応修理可能か診断してみました!
カセットの機構部分が壊れているようです。でも全く動作しないので分解を決意(^^)
ビデオデッキの分解は簡単です。カバーの取り外しはラジカセのように複雑ではありません。基板もご覧の通り!
基板も簡単に取り外せます。 録画ヘッド出現!(^^) BS(衛星放送)チューナー・ユニット
故障の原因がわかりました。モーターからベルト車をつなぐゴムベルトが経年変化で伸びてしまい、外れてしまったのです。ビデオの故障はヘッドとゴムベルトの劣化が多いと思います。特にゴムベルトの交換は数10円の部品に対して交換技術料が高額すぎる気がしますね。 操作パネル部分です。 電源部分です。変圧のための電源トランスと整流(交流を直流へ変換)のための大きなダイオード(たくさんあります)は実験装置を自作するのに使えます!
中心部分にメインのモーターが見えます。 ビデオカセットをローディングするメカニズム部分です。ビデオデッキの開発には、電子機器部分と、このメカニズムの機構を担当する部分に分担して行うそうです。 一応、分解終了。ここから先はジャンク部品取りです。

ビデオデッキの録画ヘッドを分解・・・・ベアリングを探そう!

録画ヘッド ヘッドを駆動させるためのモーター ヘッドを固定する部分はアルミダイキャストでつくられていて堅牢です。さすがビデオデッキの心臓部、精度が求められる部分です。
さあ、ヘッド部分の分解です。 イモネジを六角レンチで外します。
黄銅(真鍮)でできています。 録画ヘッドの内部はこうなっています。銅線がぐるぐる・・・
これが録画ヘッドを支えるベアリング! ベアリング(軸受)は
NSK(日本精工)製の「Z969」
ベアリング(軸受)だけでなく、録画ヘッドの軸との「はめあい精度」も高精度

ジャンク部品のゆくえ(^^)

 ビデオ・ヘッド、ベアリング、歯車やベルト車は機械要素・機構や加工精度の学習用実物サンプルとして、プリント基板は電子技術の学習用実物サンプルや実験装置製作用の部品に、プラスチックボディーは材料(プラスチック材料の種類と用途)や加工技術(プラスチックの射出成形)の学習に使います。電線やその他の部品もロボットコンテスト用にリサイクル・・・・捨てるところがない鯨の解体みたいですね(^^)

ビデオカセットが入ったかを調べるセンサーです。ロボコン用の部品に使えそうです。 メインの駆動用モーターです。
ブラシレスモーターですね。
モーター、ベルト車、ベルト、ウォームギア、歯車のユニットはこのまま教材用に・・・
この機械要素も使えます! 電線は最近買わなくて済みます。 平面の大きな金属板は何かと転用可能
ボディーのプラスチック部品は材料(プラスチック材料の種類と用途)と加工技術(プラスチックの射出成形)の学習用サンプルに 家電リサイクルがこうしたビデオデッキにまで適用されれば、こうした金属とプラスチックを取り外しにくくしたような部品は淘汰されていくでしょう。リサイクルを考えた設計は、大切なこととなっています。

ビデオデッキの分解はこれだけの工具で大丈夫

 ドライバー、精密ドライバー、ラジオペンチ、ニッパ、けがき針はプラスチック部品のロックを外すのに便利です。あっ、録画ヘッドの分解には、六角レンチが必要です。もちろん部品取りには「はんだごて」「はんだ吸取器」「ピンセット」なども必要です。

ジャンク部品が電子部品の標本箱?に変身!

これは、生徒たちと一緒にテレビやラジオを分解して取り出した電子部品(素子)を分類してつくったものです。写真は受動素子(抵抗器・コンデンサー・コイル)ですが、能動部品(真空管・トランジスタ・IC・LSI)もつくりました。教材研究にもなりますし、技術科の学習に役立っています。皆さんもつくってみませんか。


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