ケナフで紙すきをしよう



○ ケナフ(kenaf)とは

 ケナフ(学名:hibiscus cannabinus l.)はアフリカ原産の一年草の種子植物で,秋に薄黄色の直径10cm程度の花をつけます。高さは半年で4〜5メートルにもなり,光合成が旺盛なため地球温暖化を招く二酸化炭素を広葉樹の5倍も吸収し,地球温暖化の防止にもつながると考えられています。
 また,茎から木材のパルプに匹敵する品質の紙を作ることが可能で,面積当たりの収穫量が木材よりも多いため,ハガキやノートなどを非木材の紙をつくれます。木材と違って,どうせ1年で枯れてしまいますので,いくら使っても構わないわけです。
 ケナフは二酸化炭素を吸収すればするほど成長するので,大気中に二酸化炭素が増えても,どんどん吸収してくれます。そうすると,大気中の温度が上昇するのを防ぐことができ,それだけ多くの紙の原料が作れます。一石二鳥ですね。
 なお,ケナフはカルシウムを牛乳の数倍含んでいますので,紙をすくだけではなく,食べてみるのもいいかもしれません。私は食べたことはありませんが...



○ ケナフの育て方
 種まきの時期は5月後半から6月頃です。気温が20度前後にならないと発芽不良を起こします。種を水に入れ(浮いたものは中味がカラですから芽がでません),一晩水に浸して土に植えます(間隔は30cmくらい)。なるべく日当りが良い場所を選び,芽が出るまでは土が乾かない程度に水やりをします。あまり水をやりすぎると地温を下げてしまいますので注意して下さい。
 最初の頃は草取りと害虫に気を配った方がいいでしょう。肥料は家庭菜園程度に使えば十分ですが,やらなくて構いません。あとは,放っておくと秋には花が咲きます。花が咲かなくても紙はいつでも作れますので,授業の進度に合わせて紙すきをして下さい。果房,茎にトゲがありますので,気をつけてください。

○ 紙のすき方


表皮

1 ケナフを細かくする
 刈り取ったケナフを1ヶ月くらい室内に放置し,数cm程度に切ります。切ったケナフの茎を水と一緒にミキサーに加えて,攪拌します。(皮だけだと強い紙に,芯だけだと表面が滑らかな筆記用の紙になります)


kenaf04.jpg (2518 バイト)
中和前

中和後
2 ケナフを煮る【ケナフのパルプ化】
 鍋にケナフを入れ,水を材料が浸る程度に加えて20分〜30分煮たら,水洗いします。再度ケナフと水(ケナフが浸るまで)を鍋に入れ,水酸化カリウム粉石鹸を加えて,1〜2時間煮沸します。液が途中で少なくなったら水を加えます
 煮え終わったら,取り出して硝酸で中和し,十分水洗いします(廃液は栄養剤になりますので,外にまいておきましょう)。茎の固い部分は木槌で軽くたたき,繊維を細かくほぐします。



漂白前

漂白後
3 ケナフを漂白・保存する
 漂白剤と水を1対1に混合した液を,パルプが浸るまで加えて数時間漬け置きします。(ある程度)白くなったら水でよく洗います。これを絞って,紙すきを行います。紙すきについては,「牛乳パック」と同じです。
 絞ってすぐより,でん粉糊入れて(小サジ一杯),ミキサーにかけるとよい紙ができます。すきあがった紙を圧縮し,あて布をしアイロンがけをすることを忘れないで下さい。(平らな板の上に重ね,本などを載せて,しわを伸ばす方がきれいです)



○ ケナフの種の入手法
「ひろしまケナフの会」で手に入ります。苗が必要な方は事務局に問い合わせて下さい。種は1袋(20粒)が100円です。希望する袋数分の100円切手と返信用封筒(90円切手貼付のもの)を同封し, 〒729-2502 広島県安浦町「ひろしまケナフの会」までお申込み下さい。「ひろしまケナフの会」HP http://www.kyosai.or.jp/~kenaf/    e-mail kenaf@kyosai.or.jp

○ もっと詳しく知りたい方は
このHPの説明は,東京電力(株)川崎火力発電所ホームページ(http://www.tepco.co.jp/kawasaki-tp/index-j.html)を参考にしています。もっと詳しく知りたい方は,そちらをご覧ください。

写真提供(ケナフの花):東京電力(株)川崎火力発電所 様    
写真提供(上記以外) :岡山市立庄内小学校 平島 秀典 先生


投稿者:岡山県玉野市立日比中学校 赤澤靖規

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