顕微鏡でのぞくIC・LSIの世界
↑パソコンの論理回路ICを分解 顕微鏡+デジカメで撮影
能登川中 田渕洋子先生撮影
↑icをccd付き顕微鏡で撮影しキャプチャー
原中 村松浩幸先生撮影
↑NEC V30(CPU)
↑intel80286 ↑ep-rom(三菱製)
下の3つの画像は、クリックすると640×480のJPG映像が表示されます。
小絹中 川俣純撮影
撮影ノウハウ(田渕洋子先生や村松浩幸先生に教わり、自分なりに試してみました。)
撮影のためには、まずはICやlsiをふんだんに使っている電子機器の廃品を用意します。写真は、100円で、パソコンショップで売られていたNEC9801VX21です。わたしこれと同型のものを30万で買ったことがあるのですが・・・。
もしお近くにそうしたお店がなければ、東京に行かれたついでに秋葉原によられて入手されてはどうでしょうか。別にパソコンでなくてもビデオでも何でもicやlsiの使ってあるものならokです。
CPU分解法 V30(8086互換チップ)の場合
こいつが、その中に入っているCPUの一つV30、このチップは8086互換で、当時のNECのパソコンにはよく使われていました。パソコンの心臓部です。
CPUは、ディスクトップなどではたいがいの場合、簡単に交換できるように、ソケットに刺さっているだけです。マイナスドライバーで動かしてあげるだけで簡単にとれます。パソコンの中からCPUを探すのもとっても勉強になりますよ。V30は、いわゆるゲジゲジの形をしています。表にNEC V30と書かれているものをさがしましょう。
で、これが具体的な分解の手順です。万力ではさんで、横から精密ドライバーでこじ開けました。横から軽くトントンとたたいてあげるだけでパリッとはがれてしまいます。はがした後に、足の部分を取りますが、跳ね上がってくることがあるので、注意が必要です。簡単にシリコンチップを丸裸にできます。
CPU分解法 intel80286の場合_
こいつが1998年当時最新のCPUだったインテルの80286です。見てわかるとおり、たくさんの足がCPUから生えています。写真は裏面から撮影したもので、表面にはintel80286としっかり書かれています。これも、100円で買った9801VX21から入手しました。正方形の形をしたチップはこの外にはないので、すぐに見つけることができると思います。これも取り外しが超簡単です。レバーを動かすだけでとれてしまいます。
また、どうやって分解しようかといろいろと試しましたが、グラインダーで削ってみても陶器のような頑丈なパッケージで、いくらやっても削れません。仕方がないので壊すことにしました。割るというのが正しいかもしれません。
マイナスの貫通ドライバーをあてがい、上からハンマーでバン! とやると見事割れました。cpuの真ん中に切れ目ができてしまったけど、使うわけではないのでこれでokです。裏側の真ん中の部分の鉄板をとると、シリコン板が見えます。この破片を顕微鏡でみるわけです。
ep-romならそんなこと考えなくても大丈夫
中には、見てくれとばかりにシリコン板が丸見えのチップもあります。EP−ROMというこのチップは、窓の部分から紫外線を照射することで、中に書き込んだプログラムやデータなどを消去して何回も再利用ができるというチップです。パソコンのBIOSなどのプログラムを格納しておくのに以前はよく使われていたようです。今回使用しているNEC9801VX21からは8個も入手できました。このチップもソケットにはまっているだけですから、マイナスドライバー一本で簡単に取り外せます。ちなみに、窓の部分には、通常は光が入らないようにシールなどが貼ってあると思います。
必殺撮影法(思いもよらない撮影法にびっくり?!)
顕微鏡は、理科室にある、ごくごく普通のもの、今回は接眼に15倍、対物に10倍を使いました。だから倍率150倍です。髪の毛をいっしょに移してみました。どれくらいの倍率か実感できると思います。どの配線も髪の毛の数十分の1以下の太さしかありません。
顕微鏡は透過光式だから、実体顕微鏡をつかわなければと、ついこないだまで考えていたのですが、普通の顕微鏡だって、上から懐中電灯の明かりをあててあげれば十分に実体顕微鏡の代わりになるんです。ただし、倍率が高い対物レンズを使うと、焦点処理が短くなってしまい、横から光があたる余裕が全くなくなってしまうのが残念です。
デジカメを顕微鏡の上に三脚で固定します。接眼レンズとの距離に注意してください。顕微鏡のピントはあらかじめ固定しておいたほうがデジカメのレンズに傷をつけることもなくなります。デジカメは当然液晶表示にしておきます。また、撮影距離を選べる機種では、マクロモードにしたほうがよいそうです。
授業中に使うのならば、このデジカメの映像をテレビに映像端子で送れば、その場で大きく拡大して見せることができます。
田渕洋子先生、村松浩幸先生で撮影した写真を送っていただいたりして、いろいろと勉強になりました。みなさんのところでも撮影をぜひよろしくお願いします。今まで、コンピュータとはプログラムが動く装置程度の認識でしたが、コンピュータがどれほどの電気回路の集積の上に成り立っているのかこれを見て改めて考えさせられました。これはすごい技術ですね。
茨城県筑波郡谷和原村立小絹中学校 川俣 純