本校では、情報教育とともにものづくりを重視する学習指導要領の目的が、必修 の週一時間では十分に達成されていないことから、選択履修において、ものづくりのり発展的な学習をねらい、耐用年数の過ぎた廃棄机の天板(厚さ50mm)を使用した建築物の製作実習を行っています。
製作過程
昨年度、3年生選択技術科では、11名の生徒が古建築物製作コースを選択し、修学旅行の事前学習で取り上げた奈良薬師寺の東塔の最上部部分の模型(縮尺1/10)を製作しました。
塔の実寸の資料は奈良県立図書館から「薬師寺東塔及び南門修理工事報告書」を取り寄せました(資料の半分までならコピーしてくれます)。その実寸の1/10の大きさに机の天板を手引きや丸のこで切断し、カンナ盤で切削して各パーツに分けました。廃棄机が桜材なので仕上がりはきれいですが固く加工がしにくいので、もし製作されるならもう少し柔らかい材がいいと思います。製作中に欠けたりしますが、実際に使われている檜材などもお薦めです。
最上部部分の模型とはいえ、パーツの数は多く、斗(ます)は80個、肘木は40個、その他のパーツは60個必要になりました。加工の難しい斗の舌(ぜつ)の部分は、12mmのドリルの半径を利用し、組み合わせ部分は角のみ盤、細部は糸鋸やジグソーなどを
使用しました。そのパーツを専門書や実際に修学旅行で撮影した写真を参考に組み立てていきました。
参考資料として
「社寺建築の工法」佐藤日出男著・理工学社
「蘇る薬師寺西塔」西岡常一著
をお勧めします。組み物の図や写真が多くとてもわかりやすいです。
詳細部分の疑問点は滋賀県の宮大工の棟梁とメール交換をしながら指導、助言を得るなど解決する工夫もしました。組み立てで苦労したのは細部の微妙な調整でした。寸法通り切断して作ったパーツが合わなかったり、組んでも隙間ができたり、傾いた
りと製作時間が足らず、昼休みや放課後に自主的に取り組んでいました。年度の初めから取り組み、生徒作品コンクールの選考締め切り9月末にやっと昨年度製作した作品と同レベルまでに至りました。毎年、製作したものを修学旅行の事前学習で見せ、力を分散させる工夫や免震構造などの説明をし、先人の知恵を現地で確認させるようにしています。
「五重塔はなぜ倒れないか」上田篤著・新潮社
日本建築
も参考にすると生徒は理解しやすいと思います。もし、質問などありましたらメールを下さい。
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