桐製卒業証書箱
3年生のものづくり教材として、興味を持って、短時間で製作できるものを考案しました。高級感のある桐材を使って、自分で製作した卒業証書入れを持って卒業です。
1.教材観
3年生の必修ものづくりの題材として、1,2年生よりも精密な加工を期待したいところです。しかし、短時間(17.5時間)の学習時間の中では、いくら3年生の題材でも限られてきます。
桐のもつ高級感、箱づくりの難しさ、そして短時間での製作にピッタリの加工性のよさ。さらに、卒業証書を入れるという3年生ならではの題材選定が、生徒の意欲と関心を高めます。
2.実践
- (1)製作時間 全12時間
- 1)けがき、切断 2時間
- 2)組み立て(側板のくぎ打ち) 2時間
- 3)組み立て(ふたと底の接着剤接合)2時間
- 4)仕上げ(外側) 2時間
- 5)分断 2時間
- 6)内張、仕上げ 2時間
- (2)個性の表現
- 卒業証書の大きさが決まっており、大きさなどを設計する時間が十分にとれないことから、今回はサイズを指定しました。
しかし、ふたの部分に12mm厚の板を使用しましたので、形状をかまぼこ型にしたり、台形にしたりと工夫させ、かんながけややすりがけで各自に削らせるようにしました。
- (3)評価(実技テスト)
- 基本的には2時間ごとに提出させたものを評価しました。
- 1)加工2時間目
- 与えた材料に正確にけがきを施し、材料を真半分に切断させることで、正確な加工ができたかを評価する。
- 2)加工4時間目
- 側板の底面になるこばがきちんと揃えて、くぎが正確に打てたかを評価する。
- 3)加工6時間目
- 側板の上面側のこばをきちんとそろえるようにやすりがけし、ふたをすき間なく接着できたか評価する。
- 4)加工8時間目
- 全体にやすりがけを施し、板の継ぎ目に段差やすき間がないか評価する。
- 5)加工10時間目
- 全体を上下に分断させ、上下の箱の間にすき間がないか、評価する。
- 6)加工12時間目
- 内側に板を張り、最終的な完成度を評価する。
3.まとめ
箱を分断してから、ふたと身の部分がずれないように内側に薄い板を張り付ける方法は、木の箱づくりではこれまでとは違った方法だと思います。この発想によって、箱づくりが簡単に、そして精度よく仕上がるようになりました。最終的な仕上げとして、組み紐で上下の箱を結ぶと、より上品な作品になります。