ブリッジコンテストとは?
ブリッジコンテストとは、より強い橋、より経済的な橋、より美しい橋をつくるという目標に向かって競い合う競技です。一般的には、大学などの研究者や建築家のなかで行われているもので、ポイントとなる一つは材料力学と構造力学、アイデアです。ある一定量を越えた知識と発想力と技能を持った人達のなかで面白味を感じることができるものですが、中学の授業の中で、その世界に一歩踏み出せないかと考えました。先行するカセサート大学の実践に学びながら、行いました。
25センチ離れた両端に橋脚を2本。その間に、4ミリ角のバルサ材で強い構造物をつくるというものです。25センチの角材を1本、20センチの角材を2本、5センチの角材を5本配布し、カッターナイフで切断し、瞬間接着剤で接合します。その際に、切断面のきれいさ、接合部の接着面積、全体の構造がポイントになります。
各班4〜5名で製作し破壊テストしました。ほとんどの班は、2kg前後。中には、800gで折れるもの、4kg、5kgというものまでありました。
授業について
授業では、まず、パワーポイントを使ったプレゼンテーションの中で、目標を知り、試験をするにあたっての最小必要の知識を知ります。そして、班で「こうしよう」「ああしよう」と討議し、第1段階の「設計」に入ります。図面を表す班、描くことより先に手が動く班、さまざまでした。設計製図の終わった班は、「試作」にうつります。カッターナイフで材料を切断し、瞬間接着剤でかためていきます。
「試作」が完了した班は、テストを行います。生徒たちが、なかなかテストにこなかったのは、試験の結果をフィードバックできない試験1回という閉ざされた試験に慎重になったのだと思います。2回目の試験を可能にしたとき、生徒の動きがよくなったことを考えると、試験結果のフィードバックは注意をはらうべき重要な要素であることがわかります。
1回目のテストでえられた結果というのは、ほとんどが、材料を増やすか、破壊箇所を補強するかというものです。そういった誰でも思いつく改良を繰り返しながら、その繰り返しから得た知識と理解が一定量を超えたとき、新しい根本的なアイディアが生まれてくるものです。授業では、時間の都合もあり、データがフィードバックされた「手直し」の工程は、1時間で行いました。生徒達が2回目、3回目と行うにあたって設計したもの、それがいわゆる「2次設計」「3次設計」にあたります。
明石海峡大橋も、例にもれず、先行する橋の失敗結果と、テストによるデータ収集、設計やり直しを繰り返して図面は仕上げられ、つくられたものです。生徒達は、その製作の現場で働く労働者たちと、技能のすごさをビデオ(nhk特集「テクノパワー 〜橋・より長く、より強く〜」)を通して見ました。
参考資料
投稿者:京都府 同志社大学中学校 沼田和也