金属加工では材料、構造の強さの指導は欠かせない。板金加工における「ふち曲げ(折り返し)」の必要性については、その結論として、ただ物を作らせるのではなく、なぜそうなるのか、その理由を教えることが大切である。ここでは板金加工におけるふち曲げの必要性について、実験を通して定量的に測定させ、その本質的な意味をわからせることにねらいを置いた。
図1に示すa〜eの5枚の板金を用意する。勿論この5枚の材料は、材質、厚さ、大きさは同一のものとする。筆者の授業での実験に用いた材料は、265×45×0.36のトタン板であった。またふち折りしろはすべて5mmとした。
図1 試験材料片図2はばねはかりに針金をつけ、これを引っ張ってその荷重を測定させる。なおこのとき用いた針金の長さは150mmである。またはかりの秤量は8kg以上のものを用意した。
図2 ばねばかりによる実験また図3は台はかりによって、材料の上から刀刃で折り曲げ荷重を加えた。台はかりの秤量は15kg以上のものを用いた。
図3 台はかりによる実験授業ではこの実験に入る前に、生徒の各班にその順位を予想させ(表1)、その実験結果を測定させた。
1時間の授業で簡単にできる実験である。おおくの生徒がふちを少し変形させただけでa板より大きな荷重に耐えられることを驚きとともに学習できる。特にb板がa板の10数倍になることについては予想外であったと報告している。
投稿者:東京都 河野 義顕
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