コイン選別機製作の配線上の注意
コインをよく飛ばすコツは、放電回路の電気抵抗を極力減らすことです。
商用銅の電気抵抗は、20度Cにおいて、長さ1m、断面積1平方mmで1/55Ω です。 渦巻きコイルの長さはリード部分を入れて大体1mです。
断面積は、直径が1mmですか ら、0.25π平方mmとなります。これからコイルの 抵 抗値を算出すると、約23mΩ(ミリ オーム)となります。
つまり、1000分の23Ωという非常に低い抵抗値です。
コンデンサには100Vを整流して直流をためるわけですが、 コンデンサにたまる電圧は 100Vではなく、100√2Vです。 それは100Vというのは交流の実効値であって、コンデンサにたまるのは尖頭値です
から、その√2倍、つまり約140Vになるのです。
渦巻きコイル
この140Vを23mΩで放電させるわけですから、オームの法則に従って
140/0.023A≒6000Aという、とてつもない大電流が流れるわけです。 したがって、途中のスイッチ(S2)が小さいものだったり、リード線が細くて、
20mΩも配線の抵抗があれば、放電回路抵抗は倍になり、電流は半分、したが って磁場は半分、渦電流も半分、渦電流で生じる磁場も半分、だから反発力は
(半分)×(半分)=1/4に激減してしまいます。20mΩくらいの抵抗は、 へたな配線をすると、かんたんに生じてしまいます。
それに加えて、放電電流の変化は急峻なパルス状ですから、電線自身の電磁誘導で自分が出した磁力線が電線の外だけでなく中にも入り込み、その結果、表皮効果(Skin
Effect)が現れ、電流は電線の表面しか流れないとい う傾向が現れるのです。したがって等価的に、さらに放電回路の抵抗は増える理 です。
ですから、放電回路の配線は、できるだけ太く短く直線に、はんだ付けはしっかりと、コンデンサの端子と配線の接続もしっかりやりましょう。
流れる電流は直流だという観念を捨てて、超高周波回路の配線をするつもりにな るというのがコインをよく飛ばすコツです。
電解コンデンサは、そのスタンドで木台に取り付けようとすると、端子が上面に出ます。すると放電回路の配線が長くなります。これでも行けます
が、筆者はアルミの台を作って、端子が下側に来るようにしました。 これで20cm弱配線が短くできるからです。
ところで、面白いことを発見しました。
直径1.6mmの銅線を一巻きして、直径30mmほどのリングにし、その両先端は(半田付けなどでくっつけずに、)とがらせて、 極々軽く接触させておいて、渦巻きコイルの上に乗せ、瞬間大電流を流すと、
火花が出ます!
巻き数1巻きのコイルから火花が出るのです!! 本当に超高周波現象と同じです。
資料
森 政弘「電磁力でコインを飛ばそう」、ロボコンマガジンNo.11、オーム社、2000年
※ここに詳細な実体配線図や製作上の注意事項が出ています。ぜひご覧ください。